【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設

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<幸せな音>は管理人 幸音(ゆきね)による本誌ネタバレ感想と二次創作のサイトです。 『狼陛下の花嫁』の黎翔×夕鈴、『ひみつの姫君 うわさの王子』のイジー×アルディーナ、ぬるめですが、それぞれの年齢制限のある話も書いてます。年齢制限の話はパスワード必須です。入力画面での注意事項を必ずお守りください。 当サイト作品は全てフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などには一切関係ありません。原作が大好きです。著作権侵害を目的とせず、原作者様、出版社様とは一切無関係の自己満足個人サイトとなります。 更新はオフ優先ですので、基本的に不定期です。本誌ネタバレ感想は書きますので、最低月1の更新になります。 励みになりますので、よろしければ拍手やコメントしてやってください。何かございましたら拍手コメントやメールフォーム等にて。 拙い文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
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妃と嫌味と嫉妬

黎翔×夕鈴(偽夫婦)
時期的に宴の後

 
春の宴が終わり、季節の移り変わり。湿度の高い雨が国を覆っている。
白陽国を統べる冷酷非情な狼陛下唯一の妃・汀 夕鈴は体調を崩し、ここ数日滅多にない高熱が続いていた。
黎翔は妃の容体をとても心配していたが、忙しい黎翔に熱を移したくなくて、夕鈴は見舞いは一切断っていた。しかし、老師による処方箋が効果を発揮し、具合はすっかり良くなったのだ。
しばらく控えていた政務室通いを、医師の許可が降りた翌日に再開することにした。
夜が明けるとここ数日気だるさを帯びていた目覚めも良くなってる。
医師の許可が出た日、黎翔から「朝餉の頃に顔を見に行く」と伝言を受けた。しかし、黎翔は李順に急用で呼び出されてしまったらしく、夕鈴はまだ夫に会っていなかった。

(――陛下に会いたい――)

不思議だ。数日、顔を見ていないだけでこんな風に思うなんて。
本当は彼が部屋に来てくれたら、「もう元気になりました」って伝えたかった。
だから朝餉を1人で済ませ、少しでも早く会いたくて――いや政務室通いは言われた通りに従ってるということもあるけど――準備を済ませて早足で政務室に赴く。

「おはようございます、皆さん」
気合いを入れて政務室へ一足踏み入れると、それに気付いた仲の良い官吏たちが声をかけてくれた。
「お妃様! おはようございます」
「陛下からお話を伺うと、体調を崩されていたようで……もうお加減はよろしいのですか?」
「ええ。季節の移り変わりで少し伏せってしまいましたの。お陰さまでもう大丈夫ですわ。ご心配をおかけしてごめんなさい」
「あまりご無理はなさらぬよう、どうかご自愛くださいませ」
「ありがとうございます」
久しぶりの日常会話を和やかにしていると、背後から殺気に近い視線を感じた。
「――全快されたのか」
振り向かなくても分かる、この声の正体。
夕鈴は扇を握る力を強め、振り向きざまに妃の笑顔を浮かべて返事をする。
「おはようございます、方淵殿。お陰さまで快復いたしました」
「フン、そのまま後宮に留まっていればいいものを。ここは貴女のような方がいていい場所ではないと何度申し上げれば――」
「あら、それこそ何度も申し上げますが、私は陛下のお言葉に従っているだけです。陛下の意に背くことの意味は、貴方とて重々ご存じのはずでしょう?」
「――まあまあ、方淵。お妃様にそのような口を聞いてはいけないよ」
毎朝恒例と言えるやり取りを繰り広げようとすると、もう1人の官吏――氾 水月が華やかな雰囲気をまとって間に入った。
「水月さん! おはようございます。ちゃんと朝から出仕されたんですね」
「おはようございます、お妃様。拝見した限りでは、すっかりご快復されたようで何よりです。妹も貴女のお体の具合を憂いておりました。……本日は天候が良いので笛を吹いて1日を過ごしたかったのですが、妹に手厳しく促されましたので出仕した次第でございます」
方淵とは正反対の好意的な挨拶にほっとする。もちろん後半の言葉は聞き逃せない内容だったけれど。
「ありがとうございます、水月さん。まぁ……紅珠にも心配をかけてしまったのね、後で手紙を書いておかなきゃ」
「おい、貴様! 出仕は陛下のためであろう。それを以前のように貴様個人の気分で拒否をして良いものではないだろう。忠誠を蔑ろにしているようなものではないか!」
勢いよく怒号を飛ばす方淵に対し、水月は物腰柔らかい態度を崩さぬまま言葉を返す。
「蔑ろどころか、忠誠は深まるばかりだよ。以前に比べて出仕するようになったしね」
「はっ! 休日以外に出仕しない日もあるどころか、出仕の半分以上早退する奴の言葉とは思えんな。貴様が勝手に休むせいでこちらの仕事が増えるのを理解していないのか」
「おや。たまには休息を挟まないと、元も子もないのでは?」
「貴様はその限度を超えているのだ」
「水月さんだって頑張ってるでしょう。突然貴方と同じ量の仕事を任されたら、倒れるかもしれないわ。出仕されるのは久方ぶりなのですから少しずつ慣れていかないと……」
「お妃様……お優しいお言葉、ありがとうございます」
「そんな軟弱な心構えでは王宮の官吏は務まらない。私はもっとまじめに仕事をしろ、と言っている。それから! ここに来て書簡整理しかしない貴女に口を出してほしくない! なぜこいつを庇う」
(庇うも何も、貴方この状況を、周りを見なさいよ。この場にいる他の官吏たちが気まずそうにこっちを見ているじゃない。この空気をこれ以上悪くしたくないからよ――って口に出すと空気読めない男だから余計にこじれちゃうのよね……うーん、この間の宴で友情が芽生えたはずなのに、状況が全くと言っていいほど変わってないって……計算外だったわ)
夕鈴が次に返す言葉を探していると、部屋の空気が張り詰めたのを肌で感じ取った。
「――何やら騒がしいな」
国王の入室に気付き、官吏たちがその場で構えて頭(こうべ)を垂れる。
「何を朝から騒いでいる?」
咎める冷酷な視線を向けられた方淵も水月も、他の官吏同様に頭を下げる。
「はっ、申し訳ありません、陛下」
「朝から言い合いに労力を割くようなら早急に仕事に戻れ。方淵、先日行われた南部の水質調査の分析をしたものと今後の計画をまとめて提出しろ」
「は、承知いたしました。すぐに取りかかります」
黎翔の指示に従って仕事に戻る際方淵が夕鈴を睨んだが、夕鈴が負けじと睨み返しておいたのは言うまでもない。
周りにいた方淵や水月、官吏たちが持ち場に戻ると、黎翔は夕鈴に向き直した。
「――久しいな、夕鈴」
いつものほんわりした笑顔ではないが、鋭い瞳が和らいだ。
「ご心配をおかけしました」
名前を呼ばれた夕鈴はしゃんと背筋を伸ばす。実際、黎翔と顔を合わせるのは数日ぶりだった。
そして、久しぶりに聞く狼陛下の声を懐かしく感じていた。
(私、どこか変じゃない?)
ここに来る前に部屋で何度も鏡を見て身だしなみを確認したが、彼を前にするとまだどこか足りないところがあるのでは、と気にしていた。狼陛下はいつだって完璧な人だから。
「今朝は急用で顔を見せられなくてすまない。全快したと昨日老師から聞いたが……顔色がまだ少し優れないな?」
「え? そんなことはありませんが……」
「いや……元気になったはずと聞いていたが、君は寝所で見せるような火照った顔をしている」
「――!?」
その言葉に夕鈴だけでなく、政務室にいる方淵と水月以外の官吏たちの顔が赤くなった。
(ちょっと陛下、いきなり甘い演技は卑怯じゃない!? こっちは復活したばかりで心の準備が整ってないのに!)
恨めしく睨みたい心情だったが、そこは周りの目もある。夕鈴は努めて妃の表情を維持する。
「えぇと、それは……陛下のお顔を長らく拝見できなかったから……です」
「そうだな。それなのに君は、夫である私よりも先に他の男と談笑するのか? その愛らしい笑顔を振りまいて?」

(え、何――)

いつのまにか距離を詰められ、夕鈴は腰を抱き寄せられた。力強い腕と密着のせいで夕鈴は身動きが取れない。
(……って近い近い近いってば!)
布越しに伝わる掌の熱さをひどく感じる。
「……少し、痩せたようだな……ただでさえ細い身体がこんなに細くなると、抱く時に壊してしまいそうだ。……ああ、腕なんか細すぎるくらいだ」
不意に手を持ち上げられて、袖から露わになった手首に一瞬口づけられる。
「あ……っ!」
「その可愛らしい声も……ここでは聞かせたくないな」
(ちょっと本当に何言ってるのよおおお! 本当は夫婦じゃないのに、してもないことを言われるこの恥ずかしさったら!! 陛下ってば私で遊んでる!)
キッと睨みたいけど、後宮でない場所でそんなことをすればたちまち噂になるだろう。
「陛下、お仕事は……っ」
「久しく君の顔を見ていなかったのだ。よく顔を見せてくれ……。君に会えなくてこの幾日は仕事がはかどらなかった。君が私のいない間にいなくなってしまうのではないかと――」
そう言葉を紡ぐ黎翔の表情は切なげで、とても演技には見えなかった。
本当にそんな風に想ってくれていたのだろうか。
「……そ、そんなことありえませんよ。私はいつでも貴方の傍にいると約束したのですから。……あ、でも今は近すぎるのでもう少し離れて下さい」
最後の言葉は黎翔の耳にだけ入るように小さく囁いた。それに対する返事はと言うと――
「ダメだよ、夕鈴。君が伏せっていた分、君の仕事も取り戻さなくちゃ」
小犬陛下は皆から見えないようにして甘く微笑んだ。
「え……?」
理解していない様子の夕鈴に黎翔は耳元に口を近づけて小さく囁いた。
「僕たち夫婦の仲良しアピールをしなくちゃ。それに僕、君に会いに行けなかったからやる気がないんだよね」
「っ、それは陛下に移さないようにとの配慮からで……!」
(そもそも王様がそんなこと言ってどうするの!)
「君の熱なら移されても問題などないのにな。――もう手放したくない」
黎翔が掠れた声で囁く。紅い瞳に囚われる。
(騙されちゃダメよ、夕鈴。これは演技!! 演技なんだから……!)
赤くなる顔を見られたくなくて扇で表情を隠す。すると黎翔は夕鈴の髪に触れ、一房掴むと口づけた。
「花の香りか? この雨季の間でも我が妃はまるで満開の花のようだな」
至近距離に不覚にも胸が高鳴る。
(ダメ、この距離でどアップは心臓に悪いわ……!)
「……やはり赤い、な」
「……え?」
「病み上がりに書簡整理はまだきついだろう、今日は1日、私の傍で……」

夕鈴は今日もまた、黎翔の膝の上。『病み上がりの妃』のため、おとなしくしておかなければならない。
(せっかく復活1日目はいつもより張り切ってお手伝いしようと思ったのに、陛下のバカ! ほら、方淵は相変わらず睨んでくるし、水月さんは生温かい目で見つめてくるし!)
さらに官吏たちはさらに夫婦の仲睦まじさ(演技)にあてられて、陛下の元へ書簡や資料を持ってくる時以外では微妙な距離を取っている。
(ああああ仕事とは言え、恥ずかしさで死にそう……!)
政務室の仕事が終わるまで、夕鈴は悶絶しつつ身を縮めて羞恥に耐えていた。

――後日李順の話によると、夕鈴が復活したその日の黎翔の仕事ぶりは夕鈴が伏せっていた数日を遙かに上回るものだったと言う。

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「方淵と水月の嫌味合戦」と「水月を庇う夕鈴」と「それに嫉妬する陛下」を書いてみたかったのですが、うまく表れてません……

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