【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設

Prev  «  [ 2017/06 ]   1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  » Next
プロフィール

幸音

Author:幸音

サイトについて
<幸せな音>は管理人 幸音(ゆきね)による本誌ネタバレ感想と二次創作のサイトです。 『狼陛下の花嫁』の黎翔×夕鈴、『ひみつの姫君 うわさの王子』のイジー×アルディーナ、ぬるめですが、それぞれの年齢制限のある話も書いてます。年齢制限の話はパスワード必須です。入力画面での注意事項を必ずお守りください。 当サイト作品は全てフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などには一切関係ありません。原作が大好きです。著作権侵害を目的とせず、原作者様、出版社様とは一切無関係の自己満足個人サイトとなります。 更新はオフ優先ですので、基本的に不定期です。本誌ネタバレ感想は書きますので、最低月1の更新になります。 励みになりますので、よろしければ拍手やコメントしてやってください。何かございましたら拍手コメントやメールフォーム等にて。 拙い文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
最新記事
カテゴリー
リンク
検索フォーム
訪問者数
最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

黎翔×夕鈴(偽夫婦)
夕鈴視点

 
今日は、政務室通いはお休み――というのも、李順によるお妃教育を受ける日だからである。
お妃教育は夕鈴がバイト妃であることが他に漏れないようにするため、王宮の人気のない最奥に近い一室で、週の半分ほど行われる。実は李順の夕鈴への叱咤が外に漏れても平気なように、という理由も兼ね備えていたりする。
お妃教育のある朝。夕鈴は黎翔に挨拶して見送ってから、毎回適当な理由をつけて誰も供をつけずに1人その部屋へ赴く。昨日の分の復習――妃らしい歩き方はばっちりできている。
さぁ、いざ敵陣へ。

「おはようございます、李順さん」
「おはようございます、夕鈴殿。――漸く挨拶は妃らしい形になりましたね」
(う、いきなり採点するのか。油断しなくてよかった。ちょーっと嫌味入ってるような気がするけど、前進はしたって認められたのかも)
「喜びを思い切り顔に出さないように」
李順からすかさず指摘が入る。
「うそ、出てました!? すみませんっ!」
「よろしいですか、貴女は必要な時以外は黙って微笑む。ただし黙っていても華やかな雰囲気を保つように」
「はい」
「財政上服飾にあまりお金を費やせないんですから、妃の微笑みで全てを補充して下さいね」
「はい」
「さて、始めますよ。まずは昨日の復習から。これを載せて歩いて下さい」
「はい!」
夕鈴は歯切れよく返事をし、復習に挑んだ。

「――まぁ、いいでしょう。昨日よりは幾分マシですが、まだ完璧ではありません。明日もう一度やりますので課題です」
「は……はい……」
(おかしい。昨日散々練習したのに、昨日の疲れが出たのかしら。頭ではできているのに、手足がうまく動かなかった……)
かれこれ2時間も頭の上に書物を数冊載せて歩きっぱなしだった夕鈴は息も絶え絶えにして、椅子で休んでいた。
「休憩を挟んだ次は歴史の続きです」
「歴史ですか!」
疲れてうなだれ気味だった夕鈴は、ばっと勢いよく顔を上げた。
「歴史の座学は張り切りますよね、貴女は」
ふふん、とばかりに夕鈴は胸を張った。
「歴史はちょっと得意なんですよ、雇われるまでは弟の復習がてら教えてもらってたので!」
「なるほど、そうですか」
(あぁ、青慎は元気でやってるかしら。学問所での成績が良いから誰かにいじめられてたりとか、几鍔に絡まれたりとか……あっ、そういえば父さんにまたお金貸してないでしょうねアイツ!)
「夕鈴殿、ボーっとしてないで本を開いて下さい」
「……あ、はい!」

「それでですね、今日は座学だったんですけど、青慎から復習がてらに教えてもらった分野だったので――」
「ゆーりん、楽しそうだね」
夕餉を済ませて黎翔と2人、長椅子に座ってまったりしながら夕鈴は今日のお妃教育について報告している。
「えっ? 勉強は楽しいですよ。学問所に行ってなかったので自分の知らないことを知れますし。逆に花を生けたり、琴を弾く花嫁修業をしてなかった私は全然できなくて、よく李順さんに叱られるんですけど……」
夕鈴は李順の厳しい指導を思い出し、苦笑いを浮かべた。本来ならここで一緒に笑いに変えて欲しかったのだが、夕鈴1人だけが笑っていた。
そこで初めて夕鈴はふと空気が変わったことに気づく。恐る恐る顔を左側に向けると、隣にいたのは小犬陛下ではなかった。
「――己を卑下してはいけないと、私は以前君に言ったが?」
冷えた空気の中、狼陛下でしか見られない笑みがそこにあった。
「……あ、え……!?」
もう1つの人格、突如現れた狼陛下を前に夕鈴は緊張せざるを得ない。いつだったか実家に帰省した時と同じ言葉を向けられ、どう対応すればいいのか分からない。
黎翔に距離を詰められるような気がする。
夕鈴は以前押し倒された経験から、今の自分の身の危険を感じて気づかれないようにほんの少し後ずさりをする。それでも彼は素知らぬ顔でじりじりと近寄ってくる。
「誰に何と言われようと君は私の唯一の妃だ。たとえ花を生けられなくても、琴を弾けなくても、こうして君が私の隣にいれば、それでいい」
そうしながら長椅子の端に夕鈴を追いやると、黎翔は夕鈴の左手を取った。自分の指をそれに絡め、夕鈴の白く細い指に自身の唇を落とす。
渇いた感触を感じた。
息が、止まる。
「……っ」
数秒の静寂と微かな温もり――。
手を離さないままに名残惜しそうに唇を離した黎翔が顔を上げた。漆黒の前髪の隙間から覗く赤い瞳が夕鈴を見据える。
「……へい、か」
「……夫の言葉を信じるか?」
どこか妖艶さを帯びる瞳から目を逸らせないまま、夕鈴は小さく返事をした。
「は…はい……」
返事をすると、心底満足そうに黎翔は微笑む。今度は小犬陛下の表情だと分かる。
「それならいいんだ。ゆーりんは完璧にできなくても心配は要らないからね、って言ってもゆーりんは頑張ると思うから、無理しない程度にしてね?」
黎翔は笑顔を向けながら、夕鈴に励ましの言葉をかける。
「はい、ありがとうございます。私、頑張りますね……!」
そんな黎翔に夕鈴は花のような――妃としてではない、夕鈴の微笑みを返した。

――ある日降って湧いた臨時バイト。
刺客に命を狙われる非日常性や、掴めない性格の黎翔に振り回されたりすることが多いけど、ここに来て以前と異なる種類の充足感を得ていることは確か。
バイトでいる間はこの人のために一生懸命頑張りたい。限りある時間の最後まで、彼の傍にいたい。
足枷になったり、言われるまま甘えるだけの存在は嫌。
彼のために、そう、すべては彼のために。

「少し寒くなってきたね。冷えるといけないから、こっちにおいで?」
「……はい、陛下」
絡んだ指は離さないまま、いつのまにかちゃんと繋ぐ形になる。
黎翔も夕鈴もそれには触れない。
繋がれたままの左手、触れた唇の熱は今も灯ったまま。

---------------------
途中までテスト前に書いて、なんとか仕上げました。
ヤマもオチもありません
本当はお妃教育で厳しく指導する李順さんに陛下が嫉妬まではいかないけどお灸を据える(=政務室で仕事を押しつけるなど)みたいな感じにしたかったんですけど、うまく進まず夫婦でまったりに進路変更(笑)
あとタイトルは最初「妃の日常」だったけど、内容が変わったのでちょっと悩んで変えました。特に他意はないです。
もうちょっと地の文を上手くしたい…。

スポンサーサイト

C

omments

P

ost omments


T

rackbacks

この記事のトラックバックURL

http://shiawasenaoto.blog.fc2.com/tb.php/658-de673779


RSSリンクの表示
QRコード
QR
最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。