【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設

Prev  «  [ 2017/06 ]   1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  » Next
プロフィール

幸音

Author:幸音

サイトについて
<幸せな音>は管理人 幸音(ゆきね)による本誌ネタバレ感想と二次創作のサイトです。 『狼陛下の花嫁』の黎翔×夕鈴、『ひみつの姫君 うわさの王子』のイジー×アルディーナ、ぬるめですが、それぞれの年齢制限のある話も書いてます。年齢制限の話はパスワード必須です。入力画面での注意事項を必ずお守りください。 当サイト作品は全てフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などには一切関係ありません。原作が大好きです。著作権侵害を目的とせず、原作者様、出版社様とは一切無関係の自己満足個人サイトとなります。 更新はオフ優先ですので、基本的に不定期です。本誌ネタバレ感想は書きますので、最低月1の更新になります。 励みになりますので、よろしければ拍手やコメントしてやってください。何かございましたら拍手コメントやメールフォーム等にて。 拙い文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
最新記事
カテゴリー
リンク
検索フォーム
訪問者数
最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バレンタイン 夕鈴side

黎翔×夕鈴(偽夫婦)
夕鈴視点
捏造バレンタインSS
お互い自覚してはいるものの、両想いなことに気づいてない2人

 
「陛下は甘いものって好きですか?」
この質問には経緯がある。

来たるバレンタインデーまで1週間。世間では女の子が好きな男の子にチョコレートをあげる日。
好きな人などこれまでいなかった夕鈴は、去年までは家計をやりくりしながら青慎や父さん、下町のみんな、そして仕方なく几鍔にもあげていた。けれど、残念ながら今年は渡してあげることができない。
臨時花嫁として雇われた今年は、陛下や李順さん、老師や官吏の皆さんに配ろうと思って李順さんに頼んでみたけど、
『いくら貴女が真面目な性格であり他者と親しもうとしても、「狼陛下唯一の妃」はそんなことしなくていいんです。それに貴族の間でそういうやり取りの習慣はありませんよ。何より下の者に「妃」の示しがつきませんし、まず人数分作るなんて材料費が無駄遣いです』と一蹴されてしまった。
無駄遣いのつもりではなかったが、そう言われてしまってはこれ以上無理は頼めない。それでもなんとか食い下がって、特に感謝の気持ちを表したい陛下にだけということで許可をもらえただけ、まだマシだ。
何を作ろうかとあれこれ逡巡していると、壁にぶち当たった。それは陛下の好みが分からないということ。
部屋に来てくれた時にいつも出すお茶菓子は、侍女に用意してもらった一口サイズのシンプルな味のお饅頭や最中(もなか)だし、チョコレートのお菓子なんて一緒に食べたことが無い。
もしビターチョコレートを使用するなら苦いのは大丈夫なのかしら?
たとえ感謝の気持ちを込めて作っても、それが苦手なものなら陛下にとって迷惑なだけだし……。
これは本人に聞いてみるしかないわね。

「陛下って甘いもの好きですか?」
(偽)夫婦の時間を一定時間過ごして、自分の部屋へ戻ろうとする陛下を引き止めて単刀直入に尋ねる。
「なに、ゆーりん。どうしたの?」
え? どうしたの、ってどうしよう! 言い訳を用意してなかった! 陛下の食べ物の好みを調べてるんです――って内緒で作るんだからそんな正直に言えないし!
「えーと、何も聞かずに答えてください!」
あぁ、我ながら苦しい返し……。
「? んー……あまりに甘いものはダメかなぁ」
あまりに甘いもの……あ、だから普段のお茶菓子も特別甘くないものを選んでるのかしら?
「それじゃあ苦いのはどうですか?」
「薬みたいに苦いのでなければ平気だよ」
薬って……いやに現実的ね。でも刺客に狙われることが多い陛下にとって薬は日常的なものなのかもしれない。
一瞬落ち込むけど、まだ次の質問があるので気を取り直して続ける。
「そうですか。あと、小さいのと大きいのはどちらが好きですか?」
味の好みも大事だけど、サイズは大事よね。食べきれるサイズかどうかがかかってるもの。大きいのが好みならガトーショコラにしようかしら。
「……小さい方かな」
少し間を含んだ答えに、夕鈴は何の疑問も抱かなかった。

バレンタイン当日――
事前に侍女や宮廷料理人に話を通していたので、厨房を少しの間借りてチョコレートを作る。
去年まではあげる人数も多かったし大量に作っていたのに、なんだか不思議。私がたった1人のために作る日が来るなんて。まるで恋人のために作っていた友達みたい……って違う!
べ、別に直接好きって陛下に言うわけじゃないんだから!
――よし、気を取り直して!
限られた材料なんだから、失敗は許されない。
『日ごろの感謝の気持ちを込めて渡す』――このスタンスは去年までと変わらない。
……ただ、ちょっとばかり、好きって気持ちを込めてもバレないと思うし、込めてみようかな……。

そして、月が綺麗に輝く夜。
夕鈴はお湯を沸かして陛下の訪れを待っている。
陛下が部屋に来るのはいつものことなのに、いつになく緊張してしまっていた。
告白するんじゃないんだから! いつも通りにしてないと、陛下に変に思われる!

コツ、コツ――

陛下の沓(くつ)の音!
深呼吸して落ち着くのよ夕鈴!
「お帰りなさいませ、陛下」
「ただいま。……今日はもう侍女たちは下がらせたんだね?」
「はい、今日はちょっと……。えーと、お茶の用意をしますから陛下は座ってて下さい。今日は新しい茶葉をいただいたんですよー」
「へぇ」
いつも通りに喋れてる……はず、よね。
「茉莉花茶(ジャスミンティー)です。熱いので気をつけて下さいね」
「ありがとう」
よし。チョコを渡さないと。えーとどこに置いたっけ。あ、そうだ。茶器の棚に置いたんだった。
どうしよう、また緊張してきた。
早く戻らないと陛下が気にしちゃう。
なんとか落ち着かせて戻って、陛下の隣に座る。
……う、わ。待って、これってどうやって切り出せばいいの!?
いつもばらまいて渡すからこういう時どうすればいいのか分からないことに今気付くなんて私のバカ!
「あの、ですね、陛下……」
「どうしたの、ゆーりん?」
優しい声で名前を呼ばれる。
顔が熱い。あぁ、早く渡さないと不審がられる。というか渡すだけなのに、こんなに緊張するなんて!
「夕――」
「……これ……どうぞ」
勇気を振り絞って、陛下の目の前に包装した箱を差し出す。
もしかしたら手が震えているかもしれない。自分で思ったよりも、絞り出した声は掠れていた。
そして予想以上に恥ずかしく、陛下の顔を見られない。
陛下が受け取り、箱を持っていた手から重みがなくなる。俯いたままで陛下の表情は分からない。
かさかさと、丁寧に包装紙を剥がしていく音が聴こえる。
「……チョコレート……?」
陛下がぽつりと呟いた。
語尾が疑問形だったのは、やっぱり陛下はバレンタインを知らないからかしら。説明するだけなのに、恥ずかしさが込み上げてくる。
落ち着くのよ、好きって言うわけじゃないんだから……!
「……今日は世間ではバレンタインデーなんです。……貴族の間ではない習慣みたいですけど、女の子から男の人にチョコレートを贈る日で。それで……臨時とはいえ、陛下の妃、なので……その、日ごろの感謝の気持ちを込めて作りました!」
よし、言い切った!
「夕鈴が作ってくれたの?」
あれっ? バレンタインの概要より、気になる所はそこなの? 陛下ってば不思議。
「陛下の好みに合わせて、甘くなくて苦くなくて小さいチョコということで、一口サイズのトリュフにしてみたんですけど……」
「ねぇ、夕鈴。チョコレートは僕にだけ?」
どうしてそんなことを聞くのかしら? 不思議に思いつつ、緊張が解けて淀みなく答えることができた。
「はい。本当は普段お世話になってる老師や官吏の皆さんにも配ろうと思ったんですけど、それだと数も要りますし、『狼陛下唯一の妃はそんなことしなくていい、材料費が無駄遣いです』って李順さんに言われてしまって。でも特に感謝の気持ちを表したい陛下にだけ、ということで……」
「ありがとう、夕鈴。すごく嬉しい」
わ……小犬の笑顔全開! よかった……本当に、喜んでもらえたみたい。
「そ、そうですか。喜んでもらえて私も嬉しいです」
「食べてもいい?」
さっきの笑顔のまま陛下が尋ねた。
「はい、どうぞ。事前に味見はしたんですけど、お口に合うかどうか……」
そう言いつつ、陛下がトリュフを1つ手に取るその動作をじっと見てしまう。ちゃんと口に合うか、その表情の変化を見ていたい。
「うん……美味しいよ」
「本当ですか? よかった……!」
美味しい、の言葉をこんなにも緊張して待つなんて生まれて初めてだった。
「夕鈴も食べる?」
「えっ? 私はいいです、味見しましたから」
ていうかそれは陛下のために作ったんだから、作り手が食べてどうするのよ!
「でも今日は僕にチョコレートくれたからお茶菓子ないでしょ? ね? 夕鈴も一緒に食べようよ」
う、確かに今日のお茶菓子は何の用意もしていないけれど。
ちらりと窺うと、幻覚か、陛下の頭上に犬の耳が生えているのが見えた。
くっ……捨てられた子犬みたいな目で見つめてくるなんて卑怯だわ……!
「……陛下がそれで構わないなら……」
無邪気な視線がなんだかいたたまれなくて、語尾が小さくなってしまった。
「はい、あーん」
陛下は迷わずトリュフを箱から取り出し、夕鈴の口元に持ってきた。
…………え?
陛下の顔と目の前のチョコを見比べる。これって――
「……えっ!? や、自分で食べますから……っ!」
かぶりを振っても、陛下はトリュフを夕鈴の口元に差し出したまま。
ちょっと、ウソでしょう!?
やだ、顔が赤くなっていくのが自分でも分かる!
「あーん」
笑顔で首を傾げた陛下は、夕鈴が食べるのを待っている。
うぅ、人に食べさせられるのがこんなに恥ずかしいなんて。
チョコが解けるのを視界に捉え、観念して控えめに口を開ける。口の中にトリュフを放られる。
口を閉じた弾みで陛下の指が唇に触れたと同時に、溶けてぬるりとしたチョコレートの感触を感じた。
「あ、ごめんね、夕鈴。唇にチョコがついちゃった。拭くからじっとしてて?」
「え、いやさすがにそれは自分でっ」
自分で拭こうと指を持っていく前に、陛下がずいと距離を詰めてきた。あまりの至近距離に思わず反射で目を閉じる。
そして、乾いた指で拭われた。陛下の手で頬を軽く固定されていることも相まって、体が硬直した。
……取れたのよね?
それにしては陛下はまだ解放してくれない。目を開けたいけど、たぶん陛下の顔が近いはずだから目を開けられない。
「取れたよ」
「あ、ありがとうござ――」
頬に触れていた手が離れ、ほっとして目を開けた。すると、陛下はチョコレートを拭った指を舐めて取った。
え、ちょっと待って。何、してるんですか。
そう言いたいのに、口を金魚のようにぱくぱくさせるだけで、咄嗟に声が出ない。
「美味しいよ」
「~~っ!?」
陛下は邪気のない笑顔でそう言った。
美味しいって…!? 人の口についたチョコレートを取って舐めるなんて……!!
「や、やめてください陛下っ! 取ったのを口にするなんてっ! もーっ陛下のバカっ!!」
恥ずかしすぎて怒るしかない。
こちらを見つめる陛下の瞳が狼陛下のものになったことに、夕鈴自身は気づかなかった。

--------------------
バレンタイン仕様です。
チョコを指で舐め取る陛下が書きたかっただけのに、ゴールまでが長かったです。
いかがでしたでしょうか?
次は陛下sideです^^

スポンサーサイト

C

omments

P

ost omments


T

rackbacks

この記事のトラックバックURL

http://shiawasenaoto.blog.fc2.com/tb.php/663-d895e26d


RSSリンクの表示
QRコード
QR
最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。