幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設
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バレンタイン 陛下side

黎翔×夕鈴(偽夫婦)
陛下視点
捏造バレンタインSS

 
黎翔はいつも通り仕事を終えて夕鈴の部屋でしばし過ごす。
昼間の激務の疲れを、可愛い花嫁と時間を共にして癒すことが最近目下の楽しみである。

「――陛下は甘いものって好きですか?」
そろそろ寝る時間になり自分の部屋に戻ろうとすると、夕鈴が不意に尋ねてきた。
「なに、ゆーりん。急にどうしたの?」
純粋に疑問を口にすると、夕鈴は目に見えて慌て出した。
「えーと、何も聞かずに答えてください!」
「? んー……あまりに甘いものはダメかなぁ」
「それじゃあ苦いのはどうですか?」
「薬みたいに苦いのでなければ平気だよ」
「そうですか。あ、あと、小さいのと大きいのはどちらが好きですか?」
「……小さい方かな」
今の質問は、腕の中にすっぽり収まる小柄な夕鈴を思い浮かべて答えてみた。そして最後まで夕鈴の質問の意図が分からないまま、部屋に帰された。

今日も雑事を終えてから部屋へ向かう。
早く会いたい――。
気持ちが逸り、思わず早足になるのは気のせいではない。あぁ、もうすぐだ。早くあの笑顔で迎えてもらいたい。
「お帰りなさいませ、陛下」
「ただいま。……今日はもう侍女たちは下がらせたんだね?」
「はい、今日はちょっと……。えーと、お茶の用意をしますから陛下は座ってて下さい。今日は新しい茶葉をいただいたんですよー」
「へぇ」
「茉莉花茶(ジャスミンティー)です。熱いので気をつけて下さいね」
「ありがとう」
そうして夕鈴はまた戻っていってしまった。
あれ? いつもならそのまま隣に座るのに。
思案していると、何かを手に持った夕鈴がこちらに戻ってきた。そしていつも通り隣に座った――と思うと、突然もじもじし始めた。
「あの、ですね、陛下……」
「どうしたの、ゆーりん?」
本当にどうしたんだろう。俯き加減ではあるが、髪の隙間から覗く頬が赤い。何か様子が変だ。熱でもあるのだろうか。
「夕――」
再び声をかけようとした時。
「…これ……どうぞ」
そう言って目の前に差し出されたのは、桜色の包み紙に包まれた小さな箱。
夕鈴はそれ以上何も言わず、頬を染めて俯き加減で黙ったままだ。何も言わず、震える白い手から小さなそれを受け取る。
そのまま丁寧に施された包装を開けていくと――
「……チョコレート……?」
一口サイズの丸いチョコレートが4つ、それぞれ仕切られた箱にこじんまり入っていた。

一瞬の思考停止。チョコレート。それも夕鈴から。
今日は何かあっただろうか、不思議に思って隣で小さくなっている夕鈴とチョコレートを交互に見遣る。するとどうだろう、先程よりも顔が赤くなっている。
「……今日は世間ではバレンタインデーなんです。……貴族の間ではない習慣みたいですけど、女の子から男の人にチョコレートを贈る日で。それで、臨時とはいえ、陛下の妃、なので……その、日ごろの感謝の気持ちを込めて作りました!」
「夕鈴が作ってくれたの?」
嬉しくて間を置かずに聞いてしまった。予想しなかった問いなのだろう、不思議そうな表情を夕鈴はこちらに向けた。驚いているが、まだ少し顔が赤い。
「陛下の好みに合わせて、甘くなくて苦くなくて小さいチョコということで、トリュフにしてみたんですけど……」
ああ、この間の質問がこれなのか。ようやく合点がいく。
しかし、ここで1つの疑問が浮かんだ。
夕鈴は真面目だ。先程日頃の感謝の気持ちと言って他の男――政務室の顔なじみの官吏――にもこのチョコレートを渡してはいないだろうか?
「ねぇ、夕鈴。チョコレートは僕にだけ?」
「? はい。本当は普段お世話になってる老師や官吏の皆さんにも配ろうと思ったんですけど、それだと数も要りますし、『狼陛下唯一の妃はそんなことしなくていい、材料費が無駄遣いです』って李順さんに言われてしまって。でも特に感謝の気持ちを表したい陛下にだけ、ということで……」
『僕にだけ?』 ――『はい』
淀みなく答えてくれたのが嬉しくて、僕は思い切り破顔した。
おそらく夕鈴にとってはこのチョコレートには特別な意味はなく、本当にただ感謝の気持ちの表れなんだろう。この子はそういう気質の子だ。
それでも。
「ありがとう、夕鈴。すごく嬉しい」
「そ、そうですか。喜んでもらえて私も嬉しいです」
「食べてもいい?」
「はい、どうぞ。事前に味見はしたんですけど、お口に合うかどうか……」
箱からトリュフを1つ手に取ると、その動作ですら夕鈴が緊張した面持ちでこちらをじっと見つめている。
あぁ、可愛いなぁ。
口に含むと、一番に舌で感じる味は程よい甘みで、チョコレートは口の中で瞬間的に溶けていった。
「うん……美味しいよ」
「本当ですか? よかった……!」
緊張を帯びた表情から安心したような笑顔に変わる。無邪気な笑顔が本当に可愛い。
「夕鈴も食べる?」
「えっ? 私はいいです、味見しましたから」
「でも今日は僕にチョコレートくれたからお茶菓子ないでしょ? ね、夕鈴も一緒に食べようよ」
「……陛下がそれで構わないなら……」
無理に押したわけではないけれど、折れてくれた。
「はい、あーん」
トリュフを1つ掴み取り、夕鈴の口元に持っていく。口元のチョコレートと、僕の顔をまじまじと交互に見遣る。
「……えっ!? や、自分で食べますから……っ!」
やっと意味に気付いた夕鈴は慌ててかぶりを振る。もちろん拒否は想定内だ。
けれど、面白い。見る見る内に顔がイチゴのように赤くなっていく。
「あーん」
首を傾げて、笑顔でお願いしてみる。粘ってもう一度繰り返すと、夕鈴は小さく唸って、控えめに口を開けてくれた。
その隙に口の中にトリュフを放つと、口を閉じた弾みで指が唇に触れる。
夕鈴が口を開けるまでずっと持っていたからか、触れていた部分のチョコレートが指の熱で溶け、指についたチョコレートが夕鈴の唇に少しついてしまった。
「あ、ごめんね、夕鈴。唇にチョコがついちゃった。拭くからじっとしてて?」
「え、いやさすがにそれは自分でっ」
聞き入れず距離を詰め、頬に手を添え軽く固定する。そして、チョコレートに触れていなかった別の指でぷっくりとした可愛らしい唇に触れ、汚れを拭う。その間夕鈴は恥ずかしさのあまりか目を閉じて、体は硬直して微動だにしない。
(あ、これって……口づけを待ってる顔みたい。でも勝手にしたら絶対怒るだろうなー。夕鈴に嫌われたくないし……)
何よりまだ正式な夫婦ではないのだから、焦らずとも楽しみは後に取っておく方が断然いいに決まっている。可愛い表情を十分堪能して、溢れ出る純粋でない欲望をなんとか抑えてから夕鈴を解放してやる。
「取れたよ」
頬に添えていた手を離すと、夕鈴はほっと吐息をついた。
「あ、ありがとうござ――」
ぺろり。夕鈴の目の前で、指についたチョコレートを舌で舐め取る。
本当は布巾で指を拭えばいいのだけど、実際のところ夕鈴がどういう反応をするか見てみたかったのが正直なところだったりする。
「美味しいよ」
「~~っ!? や、やめてください陛下っ! 取ったのを口にするなんてっ! もーっ陛下のバカっ!!」
笑顔で返すと赤面しつつ困った顔をされ、しまいに怒られてしまった。でも怒った顔も可愛い。
色んな表情を見る度に独占欲が止まらない。こんなにも心を捕らえて離さない花嫁――早く、僕のものにしたい。

もし、「好きだ」と口にしたらどういう反応が返ってくるだろう。
嫌われてはいないと確信できるものの、自分を好きになってくれる要素は全く見当たらない。しかも普段の政務室での自分は演技ではなく素なのに、夕鈴はあれを演技だと思い込んでいる。
正直に話したら、騙されていたと憤慨するだろうか。最悪、嫌われて出ていってしまうかもしれない。
ただ1人に嫌われることだけを恐れて臆病になっているなど、自分以外誰も知らない――。

確かバレンタインのお返しをする日が決まっていると、いつだったか下町の文化関連の文献で読んだ。
さて、何をお返ししようか。

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こちらは陛下sideでした。
書き終わってみると、夕鈴よりも恋を自覚している陛下になりました。
ちなみにお返しを考えている陛下ですが、ホワイトデーについては全くアイディアが思い浮かびません(苦笑)
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