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<幸せな音>は管理人 幸音(ゆきね)による本誌ネタバレ感想と二次創作のサイトです。 『狼陛下の花嫁』の黎翔×夕鈴、『ひみつの姫君 うわさの王子』のイジー×アルディーナ、ぬるめですが、それぞれの年齢制限のある話も書いてます。年齢制限の話はパスワード必須です。入力画面での注意事項を必ずお守りください。 当サイト作品は全てフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などには一切関係ありません。原作が大好きです。著作権侵害を目的とせず、原作者様、出版社様とは一切無関係の自己満足個人サイトとなります。 更新はオフ優先ですので、基本的に不定期です。本誌ネタバレ感想は書きますので、最低月1の更新になります。 励みになりますので、よろしければ拍手やコメントしてやってください。何かございましたら拍手コメントやメールフォーム等にて。 拙い文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

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お泊まり

4000hitのお礼SS
独立させて再度アップ

LaLa6月号の妄想&捏造SS
黎翔×夕鈴(偽夫婦)
 
「今夜はここに泊まっていくといいよ」

黎翔と話をするために宿に来たものの、あちこちの道路の整備の関係で家に戻るための道の閉門の時間に間に合わせることができず、夕鈴は黎翔の部屋に一晩泊らざるを得なくなった。
今日は――というより下町に戻ってきてから、黎翔は夕鈴を「赤の他人のお嬢さん」として数々のイヤガラセをしかけてきた。
今から他の部屋を取ろうにも、今日はどの部屋も満室だと黎翔は教えた。
そんな黎翔から泊まるよう言われ、逃げ道を閉ざされた夕鈴は目の前の人物に警戒心剥き出しの目を向けた。
「僕と一緒にいるの、そんなにイヤかな」
「あ、そーゆーんじゃなくてですねっ」
しゅんとへこんだ様子で尋ねる黎翔を前に、夕鈴は否定しようと両手を胸の辺りで振ると――
「それならほら、こっち座りなよ。もう少し話がしたいだけだから、ね?」
左手首を掴まれたかと思うと、いとも簡単に寝台に押し倒された。さっきまで立っていたのに、一秒後には自分の体を受け止めているのは少し固い感触の寝台だった。
そして顔を上げた先にあるのは黎翔と、その背後にある天井。
ほんの一瞬の出来事で夕鈴は状況を飲み込めず、パニックに陥る。また、なんとか逃げようにも片方の手首だけを制御されたにもかかわらず、夕鈴は身動き一つできない。
「ちょっ離っ」
「まあまあ、そんな今すぐ出てっちゃそーにしないで」
ニコニコとした小犬の笑顔と、逃げるのを許さないような、動きを封じる行動の相反する矛盾。この状況を打破するにはそもそもどうしてこうなったのか、それを尋ねるしか道は残されていない。
「……っ、陛下、もしかして怒ってるんですか?」
「…怒ってなんかないよ? ――世の中は狼ばかりだと優しい君に少し教えたいだけだ」
「っ」
蕩けるような極上の微笑みに、心地よく耳に届く狼の声。狼の紅い瞳に捕らえられ、夕鈴は自分を見つめるその目から視線を逸らすことができない。声と、瞳と、狼のまとう妖(あや)しい雰囲気に圧倒されてしまう――。
「――…というわけで、イヤガラセできたし、僕行くね」
「え」
1秒にすら満たない瞬きの間に、狼の甘い笑みは小犬の可愛らしい笑顔に戻った。掴んでいた手をするりと離し、寝台から降りて側にかけていた上着を羽織る。
「1人で泊まる分には問題ないでしょ? あ、支払いは済んでるから」
振り向きながら有無を言わせないよう、一息に喋る。
「え、あの陛下は」
「一晩くらいその辺で何とかなるよ。じゃ」
追いかけようにも腰が抜けてしまい、夕鈴は寝台から降りることができない。
「あっ待っ」
せめてもの動く手を伸ばしたが、当然届かず空虚をさ迷うというなんとも間抜けな形になってしまった。

「な、何なのよ、もう……」
部屋に一人残された夕鈴は顔を真っ赤にして困惑の表情を浮かべた。
下町に戻ってきたのが最近だったために整備の件を知らなかったとは言え、予想だにしない事態に巻き込まれるとは考えもしなかった。なぜ下町に戻っても黎翔といるとこうしたトラブルに巻き込まれるのか、考えて少し落ち込んだ。
――その辺で何とかするとは言っていたが……黎翔は今夜どこに泊まるのだろう。
それはそうと、昨日はここに泊まったのだから当然この寝台を使ったに違いない。……すると、寝具もそのままなわけで――
「……え、待って。ということは……」
部屋は安い宿らしい簡素とした狭い構造である。こぢんまりとした机と椅子のセットの他には、現在夕鈴が座っている寝台しかなく、後宮の自分の部屋にあるような長椅子などはもちろん置かれていない。
つまり、今夜は黎翔が使った寝台で寝なければならない。
行き着いた事実に気づいてしまった夕鈴はその夜、散々逡巡した後に寝台に入ったが、眠りにつこうにもつい使用者の黎翔を意識してしまう。その夜はなかなか寝つくことができなかった。
「あぁ、もう眠れないっ……陛下のばか……!」
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