幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設



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誰にでもスキだらけ :: 2012/09/02(Sun)

6000hitお礼SS
独立させて再度アップ

お題サイト様:確かに恋だった
無防備なきみに恋をする5題:誰にでもスキだらけ

黎翔×夕鈴(偽夫婦)

 
「夕鈴ってさ、隙だらけだよね」
ここしばらく立て込んでいた懸案をやり遂げ、後宮の夕鈴の部屋でくつろいでいた黎翔が言った。
「はい?」
突然向けられた言葉の意味が分からず、夕鈴は疑問符を浮かべながら首を傾げた。
「だからね、夕鈴は誰にでも隙を見せるよねって話」
「隙ですか? 見せていませんよ」
何言ってるんですか、と納得のいかない表情を黎翔に向けた。
「そんなことないよ」
(――だって知っている)
夕鈴は一度心を許すと、誰であろうと警戒心を解く。政務室で方淵や水月と距離が近くても、夕鈴は警戒など皆無でお構いなしに近づく。黎翔の視線を受けて気づいた彼らが離れようとしても、気づいていない夕鈴は距離を詰めて話し込む。そして黎翔がまた睨みつける。彼ら以外の官吏でさえ冷気を感じ取って怯む。
政務室のピリピリした空気について不満を口にする彼女は、その原因が自分にあるとは微塵にも気づいていない。夕鈴の無防備な距離の近さが黎翔の嫉妬を生むということを。
「何がそんなことないんですか? 私、隙なんて見せていませんよ」
(どこがだ――)
今こうして黎翔の隣に無防備な状態でいる。けれどそれがもう当たり前すぎて、夕鈴は隙を見せていると意識していない。
「証明してあげようか」
「は」
聞き返そうとした次の瞬間にはもう夕鈴は長椅子に横たわっていた。正しくは、黎翔によって押し倒されたと言った方が良い。
「え、え、何っ……」
頭を黎翔の片手で支えられているため、押し倒されたとは言っても体への衝撃はほとんどなかった。しかし、突如切り替わった表情に、夕鈴は緊張を隠せなかった。
「へ、いか……?」
「こうして簡単に腕に閉じ込められるのに、君はまだ隙を見せていないと言えるのか?」
「何言っ……! 陛下が急にこんなことするからじゃないですか! からかわないでくださいっ!」
『急にこんなことするから』
それを聞いた黎翔は苦笑いを浮かべるしかない。たとえ黎翔以外の誰であっても、これから押し倒そうとして事前に予告する男などこの世のどこにもいないだろう。
そうして腕の中にいる夕鈴はと言うと――気丈に振舞っているものの、顔はまるで林檎のように真っ赤に染まり、双眸は涙で潤んでいる。長椅子の上に広がった栗色のきれいな髪を一房摘む。
「君の無自覚は残酷だな……どうか私の前でだけにしてくれ」
花の香油が馴染んだ髪に口づけながら、黎翔はただ1人の妃に意地の悪い笑みを向けた。
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