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<幸せな音>は管理人 幸音(ゆきね)による本誌ネタバレ感想と二次創作のサイトです。 『狼陛下の花嫁』の黎翔×夕鈴、『ひみつの姫君 うわさの王子』のイジー×アルディーナ、ぬるめですが、それぞれの年齢制限のある話も書いてます。年齢制限の話はパスワード必須です。入力画面での注意事項を必ずお守りください。 当サイト作品は全てフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などには一切関係ありません。原作が大好きです。著作権侵害を目的とせず、原作者様、出版社様とは一切無関係の自己満足個人サイトとなります。 更新はオフ優先ですので、基本的に不定期です。本誌ネタバレ感想は書きますので、最低月1の更新になります。 励みになりますので、よろしければ拍手やコメントしてやってください。何かございましたら拍手コメントやメールフォーム等にて。 拙い文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

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一歩進んで

イジー×アルディーナ(新婚夫婦)
 
ガルニアの王子とローシェンの姫が結婚してしばらく。
夫婦は、夜、ベッドに入る前にキスを何度か交わしてから眠るのにお互い慣れ始めた。ただ毎夜ベッドを共にしながらも、彼らは未だに文字通り清らかな夫婦関係であった。
――それが変わる夜は予期なく訪れた。

「……っふ……ぅ」
「アル、息を止めるな」
「……っは、ぁ……っ……」
その夜はいつもより少し長めのお休みのキスを繰り返していた。イジーは毎回のことながら妻を気遣って唇を重ねる。そして、知らず知らずに呼吸を止めてしまうアルディーナに、背中をさすりながら囁く。ほんの少し唇を離して酸素を吸い込ませる。そして、再び引き寄せられるように唇を重ね合わせ、耳朶を擦ると声がよりいっそう甘くなった。
(くそ……声が……)
煽られる。いつからこんなに甘い声を出すようになったのか。つい、夢中になる。
「んん、……んっ……イ、ジーさ、」
アルディーナが夫を甘い響きで呼び、気づいた時には既にイジーは彼女の左肩を押していた。
と、ん。
体勢が簡単に崩れる。アルディーナは、突然のことに状況を把握できない。視界がぐるりと変わったと思った瞬間、分かったのは背中に柔らかいものが当たったということ。それが寝具だと認識したのは、視界の端にある白い枕を捉えた後。
次にそのまま視線を真上にやる。
今さっきまでキスをしていた夫が見下ろしている。そうして、組み敷かれているという状態を理解した。

「……イジー様……?」
不安げに名前を呼ばれたイジーはそこでやりすぎたと気づいた。自分の下にいるアルディーナが、キスの余韻で瞳を潤ませ呼吸を乱している。見慣れた黒髪が寝具に散らばっているのを眺めるだけだが、いつになく扇情的な光景だった。そうして視線が漸く絡む。イジーがはっとして尋ねる。
「すまない。痛くなかったか?」
気遣わしげに声をかける。腕を掴んで引き起こした後に背中に手を回し、なるべく努めて優しく抱き起こす。
「……あっ」
完全に体を起こしたと同時に、アルディーナに腕を掴まれる。咄嗟のことに思わず双方制止する。
「……どうした?」
「……あの…」
問うがきちんとした答えが返ってこない。寝具の上だとは言え、痛くさせたのかもしれない。心の中で一瞬理性を忘れた自分を責めた。
「待ってください……イジー様にお伝えしたいことがあります」
「――?」
疑問符を浮かべるイジーの前でアルディーナは、すぅ、と小さく深呼吸する。そして、赤く染まった顔を上げる。
「わたしは、イジー様のことが大好きです。イジー様の優しいところが好きです。手を繋いでくださるところが好きです。お仕事を頑張られるところが好きです。わたしのために選んでくださるところが好きです。わたしのことを大事にしてくださるところが好きです」
「アル……?」
突然の告白にイジーは戸惑う。対してアルディーナは顔を赤らめて一生懸命言葉を紡ぐ。一通り想いを告げてから、正面の夫へおずおずと身を寄せる。
そして。
あの日のキスのように、アルディーナから唇を近付けさせ、重ねた。今の気持ちが伝わるように。
「……あの、ですから……さ、わって、ください」
アルディーナが唇を離して告げた途端にじわじわと恥ずかしさが込み上げる。語尾が小さく消えかけるほど。イジーが呼びかけようとすると、アルディーナは自分の右腕を掴んでいた夫の手を静かに取る。何を、とイジーが口にする間もなく、掌に唇をゆっくり近づけさせる。それは紛れもなく、アルディーナからの今夜2度目のキス。
「イジー様……」
唇が離れ、沈黙を破ったのは意外にもアルディーナの方だった。見下ろすと、不安を浮かべた緑の瞳が所在なさげに揺れている。こんな風に切なげに名前を呼ぶ声に胸が締め付けられる。
(俺が勝手にアルの限界を決めていたのか……?)
目の前の小柄で清楚な少女のような妻は、既に心を追いつかせていたのか。大事にしているつもりが実は傷つけていたのだろうか。彼はそんなことを思案する。
すると、アルディーナの視線はゆるゆると仰いで、再びイジーの方へ。双方、視線を逸らさない。おどおどして躊躇いを見せつつも、先を求めていると伝える言葉のない、控え目な主張。それはあの日のキスと同じく、イジーに十二分に伝わった。
2人にはそれだけでよかった。キスの意味を理解して、目を合わせる。先程よりも頬を染めたアルディーナに煽られる。キスを受けた掌をそのままゆるりと柔らかい頬へ伸ばしてそっと撫ぜると、アルディーナは掌に寄せて頬擦りをする。そうする仕草が愛しくて仕方ない。
無理をさせたくない。いきなり最後までは無理かもしれない。けれど、自分達はゆっくりで構わない。
「……っ……本当に嫌だったら構わずに教えろ」
「いいえ」
予想と異なる返事に、イジーは面食らった。
「だって、イジー様にされて嫌だと思うことはありませんから」
にっこり微笑む。先程の怯えが嘘のように見える。今度こそイジーは苦笑混じりにキスを返し、抱き心地の良い体を抱き寄せた。

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掌へのキス:懇願
初夜を迎えるために、嫁が一歩進むお話。
旦那様から急かすことはできないので耐えていましたが、嫁から控え目なアピールをして漸く、というのが私のイメージです。が、ちょっとヘタレな旦那様になってしまった気が……。
偽夫婦はイメージできるのに、ピュアな夫婦はイメージが難しいです。
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