幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設
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世話焼き旦那様

イジー×アルディーナ(新婚夫婦)

 
お忍びデートのために出かけようとすると、アルディーナは体の異変を感じた。体が熱い、心なしか体がふらつく、そういった類いのものが。既に準備を終えていたイジーに申し出ようとすると目の前が真っ暗になり、アルディーナは体勢を崩した。

「ごめんなさい、イジー様……せっかくのお休みなのに……」
「またいつでも出かけられるんだ。気にするな」
しゅんと項垂れ、弱気な声を出すアルディーナを慰めながらイジーは頭を撫でた。
――アルディーナが倒れたのを抱き留めてからすぐに、イジーは彼女を横抱きにして主治医の元へ急いだ。
診察の結果によるとアルディーナが倒れたのは重大な病気などではなく、単なる高熱による風邪だった。もしかしたら最近の寒暖の差が激しかったからかもしれない。
しかし、滅多に体調を崩さないためか、具合は芳しくなく寝込むほどひどい。イジーは至急冬用の寝具を用意させた。

医師の診察が終わりベッドに寝かせる前に、イジーはふと気づいた。汗ばんで夜着のワンピースがアルディーナの背中に張りついていることに。そして声をかけた。
「アル。汗で寝にくいだろう。だから俺が背中を拭いてもいいか?」
「……?」
きょとんとした表情がイジーに向けられるが、熱で意識が朦朧としているのは間違いない。汗を拭かなければ体が冷え、風邪がますます悪化する要因になる。提案したのは、イジーの善意からであった。
しばらくして夫の真摯な態度と言葉の意味を理解したらしく、アルディーナは緩慢な動きでようやく頷いた。
了承を得たイジーは、続けて尋ねる。
「ボタンは自分で外せるか?」
「……はい」
アルディーナはゆるゆると手を胸元に伸ばし、ボタンを外していく。まだ陽が昇っている明るい部屋で脱ぐということも相まって、さらに羞恥心も伴って頬が赤くなるのを感じざるを得ない。
その間にイジーはベッドの上に座るアルディーナの背中に回り、乾いたタオルを持って備える。
しゅる、しゅる、ぱさり。そして、夜着から細い腕が抜ける。アルディーナは前を隠すために夜着を胸元にかき集めた。白い背中が現れる。今着ているものは上下が別なため、上半分だけ脱げば背中を十分拭うことができる。
イジーはつい邪な思いを抱きそうになるのを抑えて、相手は病人なのだと言い聞かせた。そうして背後に回っているので驚かせないよう、事前に予告する。
「拭くぞ」
「お願いします……」
不安定な姿勢を安定させようと手を肩に触れさせた瞬間、アルディーナの体が小さく跳ねた。思わぬ反応だったが、理性に蓋をして、華奢な肩から背骨、腰回りを何度も繰り返してゆっくり拭う。タオル越しですら熱の高さを感じた。
その背中は見るからに弱々しく、儚さを持ち合わせている。イジーはその体を労るようにタオルを優しく撫でつける。
汗を拭き終わってから乾いた無防備な背中を眺めて、イジーは次の瞬間、無意識にアルディーナのうなじに口づけた。唇に直接触れる肌が熱く、それは睦事の最中であることを錯覚させる。一方、背中を向けているアルディーナはそのキスに気づかなかった。

「薬は飲めるか?」
イジーは、新しい夜着に着替えたアルディーナに、主治医らが用意していた薬と水の入ったコップを手渡す。が、なんだかその手元もおぼつかず、今にも水を零しそうな様子である。
イジーがそれを見てコップと薬を取り返し、両方を自分の口に含んだ。アルディーナはその一連の様子をぼんやりと見つめていた。
そして、イジーはアルディーナの傍へ近寄る。どうしてイジーが薬を飲んだのか分からないまま下から手を伸ばされ、仰ぎ見るように顎を上げられた。
あ、と悟った瞬間、アルディーナの唇にイジーの薄い唇が降りた。わずかに口を開かれ、その隙間に水が少しずつ流し込まれる。渇いて仕方ない喉と熱い体にひんやりとした水が染み渡る。嚥下(えんか)する際に思わずイジーの腕を掴む。
小さな固形物が喉元を過ぎたような気がしたのは、そのすぐ後のことだった。
飲み込む喉の動きを感じたイジーがそっと唇を離すと、解放されたアルディーナは酸素を吸い込んだ。
「…っ、は……っ」
「飲んだか?」
「は、い……」
水に濡れた唇を指で拭われる。アルディーナはたった今、口移しをされたのだと気づいて恥ずかしさに襲われた。しかし当のイジーは、薬を飲むことすら危なっかしい状態にある自分への気遣いからしてくれたのだと示すように、いつもの無表情――いや、心配を潜めた気遣わしげな表情だった。
イジーが布団をめくり、ふらつくアルディーナを横たわらせて、寒くならないように肩まで布団をかぶせる。
「薬も飲めたし、ゆっくり休め」
「イジー様は……」
「おまえが寝たら仕事をする」
「では……眠るまで、手を繋いでいてくださいますか……?」
布団からおずおずと片手が伸びる。甘える瞳につられてイジーは手を差し出した。
触れて伝わる、いつもより高めの熱。
「近々街で祭りがあるらしい。熱が引いたら出かけるぞ」
「はい。楽しみにしていますね」
アルディーナが弱々しくはにかむ。そして、その後すんなり眠りについた。
笑顔を見たいから早く熱が引いてくれ、と繋いだ手を握りしめながら彼は願った。

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世話焼きな旦那様も、風邪で弱ってる嫁も書けて満足。
2週間ほど書き溜めていたもので悩んでいましたが、嫁の笑顔大好きな旦那様らしいラストが書けたかな、と^^
風邪が流行っているようなので、皆さまお気をつけくださいませ。
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