幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設
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訪れ

黎翔×夕鈴(偽夫婦)+?

陛下には異母姉がいそう…とか思ってた矢先に、LaLa来月号では陛下の叔母が登場するみたいです!
というわけでちょっと妄想を
当然のことながら捏造
甘さなし

 
――その人の第一印象は、この世の人ではないような佳人だった。

ある秋の午後。夕鈴が紅珠とお茶を楽しみ、帰りを見送った後のことだった。
後宮へ戻る道すがら、ふと庭の方へ見遣ると誰かが花を眺めながら佇んでいた。咲き誇る秋の花々の中にいたのは、長い黒髪を右耳の下辺りに緩く結わえた背の高い女性。
見覚えがないのは確かだが夕鈴は息を飲んだ。彼女がまるで絵のように凛とした立ち姿だったからである。
遠くからでも分かる、強く放たれた存在感。圧倒すらさせるほどのそれには既視感があった。
するとそれまで花を眺めていた彼女が振り返った。夕鈴の視線に気づいたらしい。そして、彼女はこちらの方へそろりそろりと近づいてくる。
(うそ……こ、こっちに来るの!?)
誰か他の人の方へ歩いていってるのではないかと周りに目を向けるも、ここは後宮に近い場所である。夕鈴と彼女以外、誰もいない。やはり彼女は夕鈴に向かって来ているのは間違いない。こうなっては逃げも隠れもできなかった。
「お初にお目にかかります、お妃様」
紅を引いた唇から漏れたのは、鈴のような透き通った声。
それよりもまず名前を呼ばれたことに夕鈴は驚いた。自分は知らないのに、相手は自分の立場を知っている。つい怪訝そうに見つめてしまいそうになり、気づいてから妃の笑顔を作る。しかし、日々の練習で漸く身につけた妃の笑顔ですら敵わないほどの完璧な微笑みを向けられてしまう。
「申し遅れました、私(わたくし)姚 翠蓮(よう すいれん)と申します」
紅珠が花も恥じらう可憐な姫君ならば、目の前の佳人は冷たいながら華やかな雰囲気をまとった、まさに天女のような美貌を持つ女性であった。
「は、初めまして」
これほどの美貌の持ち主を目にしたことがなく、どもってしまう。こうして近くで見ると、ますます彼女の目鼻立ちの整った顔立ちや白磁の肌に視線が自然と行く。豊かな緑の黒髪からは甘い花の香りが漂っている。そして、年齢すら感じさせない容姿。
名前は先程教えられた。しかしこの人は一体、誰なのだろう?
夕鈴は黎翔の正妃候補である可能性を考えるが、それの可能性は低い。少なくとも黎翔の臣下の中に姚という名の家はない。さらに、正妃の第一候補には(本人にその気がなくなったものの)紅珠がいる。容姿も所作も物腰も話し方も、全てが完璧という言葉以外が見つからないこの佳人ならば第一候補に相当すべきではないだろうか。
ふふ、と声がして初めて夕鈴はじっと見入っていたことに気づいた。
「申し訳ありません! 不躾に……!」
「構いませんわ。突然お伺いするのも申し訳ないのですけれど、お妃様は、陛下のことは愛していらっしゃる?」
「え、ええ」
初対面の相手からの突然の質問に困惑する他ない。しかしながらバイトで雇われた関係とは言えど、彼は夫なのだ。真正面から直接的な言葉をかけられ、頬が一瞬にして熱くなる。
「1つお尋ねしますけれど、私は貴女の知らない陛下を知っていると申し上げましたら、貴女はどうお思い?」
――私の知らない陛下――
もしかして……過去に黎翔と何かしら関係があった人なのだろうか。
頭から水をかけられたように冷えていく。手に持つ扇をぎゅっと掴む。
(そりゃ、私は本物の花嫁じゃなくてバイト妃だけど。
線引きされてると感じる時もあるけど、でも、あの人の優しさだけは確かなことを知ってる)
扇を掴む手に力を込める。俯(うつむ)けていた顔を上げ、彼女と目を合わせる。
「私は、何よりも陛下の言葉を信じます。過去に何があろうと、私はあの人の妻ですから」
まっすぐ見据えて告げた途端、彼女は驚いたように少し目を見はった。
「いいわね、その瞳」
「え……?」
「……あら、いらっしゃったわ」
背後から別の沓(くつ)の音が聞こえた。夕鈴が振り返ると、仕事を抜けてきたのかそれとも休憩を取ったのか、黎翔がこちらに歩いてきていた。そして、彼もまた夕鈴の隣に立つ女性を捉えた瞬間に瞠目した。
「……翠蓮殿?」
「お久しぶりですわ、陛下」
「なぜ貴女がここに……?」
「里帰りのついでに可愛い甥の顔を見に来たのよ。いけなかったかしら?」
さっきと打って変わって佳人はころころと笑う。その顔もまた美しかった。
黎翔と立ち並ぶ姿は誰から見ても美男美女の恋人同士で、夕鈴の目にもそれが全く違和感なく映る。
面識のある者同士の会話だということは分かる。しかし一連の会話を耳にしながらも、夕鈴は事態を把握できない。
甥。
単語の意味は分かるのに、頭が拒否するのかうまく働かない。それどころか違和感ばかりである。それくらい動揺しているのだ。
「あの、陛下。そのお方は……?」
夕鈴は自分と同じように困惑している黎翔に呼びかけた。
「ああ……紹介しよう、先々代国王の妹君で、隣国の王族に嫁がれた姚 翠蓮殿だ」
「改めてご挨拶申し上げます、お妃様。私、陛下の叔母に当たります姚 翠蓮でございます」
叔母と名乗った翠蓮はまたにっこり微笑んだ。
(この人が陛下の叔母――!?)

3人は客人を迎えるための部屋に移動し、それぞれ席に着く。黎翔と夕鈴は小さく吐息を吐く。
「――お妃様、先程は意地悪を申し上げましたご無礼をお許しくださいませ」
「翠蓮殿、何を仰ったのです」
「陛下、心配なさるようなことは何もありませんでしたから。翠蓮様、こちらこそ申し訳ありません」
「ふふ。陛下の寵愛を受けていらっしゃる方がどんな方なのかと思ったら、噂以上にお可愛らしい方」
「いえ、そのような……」
「愛らしい妻でしょう?」
すかさず黎翔が腰をゆるく抱き寄せて妃を愛する演技をする。夫の親族に見られていると思うと、いつもより恥ずかしさがぐっと増した。
「あの、翠蓮様は陛下の叔母上ということでしたけれど……その、お若いのですね」
「ええ。兄とは年が離れていて……むしろ陛下と年が近いの」
「私の5つ上なんだ」
「5つ……」
なるほど改めて見ると、確かに黎翔の姉と言っても通ずるほどだ。だからこそ、叔母だと教えられても違和感があったのだろう。
「それで翠蓮殿。こちらに戻られていたのですね」
「ええ。貴方の顔と、噂の妃に会いたくて、夫にお願いして里帰りさせていただいたの。ついこの間王宮に来た貴方がこんなに愛らしいお嫁さんをもらうだなんて。私も年を取るはずね」
「ふ、貴女はまるで変わらない。私が貴女に初めて会った時と同じく美しいままだ」
「相変わらず言葉が上手だこと」
和やかな空気の中でしばし会話が弾む。しかし、ふと夕鈴は思い出す。
「……あ、陛下。ご政務は?」
「あ――そろそろ戻らなければ。翠蓮殿、しばらくこちらに滞在されるなら至急部屋を用意させるが?」
「いいえ、離宮に荷物を置いているからちゃんと帰りますわ。けれど、しばらく貴方の可愛い人をお預かりしても構わないかしら」
「夕鈴、構わないか?」
「はい、私ももう少しお話してみたいのです。ではまた夜、お待ちしておりますね」
黎翔は部屋を後にし、部屋には2人だけが残る。翠蓮がぽつりと呟いた。
「いつの間にあんなに柔らかさが出たのかしら」
「翠蓮様?」
呼ばれた翠蓮は夕鈴に向き直り、しみじみと語り始めた。
「初めて陛下にお会いした頃はもう少し笑顔もあったのだけれど、ご即位されてからはもっと冷たい表情ばかりだったのよ。当然ね、自分の周りには敵ばかり、危険が迫ってる状態だったんだもの――と、ごめんなさいねこんなお話」
翠蓮は口が滑ったと思い、手で口元を覆った。
「いいえ。あの、翠蓮様は陛下の幼い頃をご存知なんですよね。幼かった陛下はどんな感じだったのでしょう? 陛下、あまりお話にならなくて……」
「あら、お聞きになりたい?」
夕鈴の質問に翠蓮の声が弾む。今は嫁がれた元王女だが、元来気さくで親しみやすい性格なのだろう、話している内に打ち解けていった。

歓談を楽しんだ後、日没前になり翠蓮は離宮に戻ると言った。
「それではお妃様。陛下にご挨拶しないままだけれどこれで失礼しますわね」
「はい。陛下のお話、ありがとうございました。こちらにはしばらくご滞在されるのですよね?」
「……そうね、しばらくは。陛下と積もる話もしたいし、また来るわ」
「承知しました。お待ちしております」
その場が和やかな空気に包まれる。にこにこと笑う夕鈴に対し、翠蓮は柔らかく微笑んだ。
「ああ、やっぱり、陛下には悪いけれど本当にもったいない奥方様ね。でも、貴女だからこそ陛下も変わられたのね……」
「?」
「ふふ、気になさらないで。独り言だから。陛下のお相手は大変だろうけど、頑張ってね」
その時の翠蓮の笑みが何を意図したものなのか、夕鈴には分からなかった。ただ、翠蓮の里帰りと共に何かが訪れる予感がしただけである。

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おつき合いくださり、ありがとうございました。
当然ですが、続きません(汗)
なんだか収集がつかなくて本誌の次号予告へ丸投げしましたごめんなさい。
そして冒頭にも書きましたが、捏造妄想満載です(笑)
陛下に年の近い叔母様を考えたのですが、いかがでしたでしょう?
本文では説明不足ですが私の妄想上の陛下の叔母は
・佳人(美人の最上級)
・黒髪、色白
・一見冷たい雰囲気
・背が高め(夕鈴と対比させたかったことから)
・楽しいことが好き
・権力はあまり使わない
・兄(先々代国王)が王都に呼び戻した時の陛下の話し相手(幼い頃から知ってるので、陛下も頭が上がらない感じ)
・隣国の王族に嫁いだいわゆる政略結婚。でも旦那様大好き

初めて生きてる陛下の親族が登場するので、本誌が楽しみです。
やっぱり狼陛下の花嫁が休みだと、本誌は物足りませんね。
里帰りして何をするんだろうか……
譲れないのは美人ではないかという予想です。
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