幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設
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そのぬくもりを抱きしめて

お題サイト様:because
choice156:そのぬくもりを抱きしめて

イジー×アルディーナ(新婚夫婦)
イジー視点

 
彼は結婚前に常々思っていた。自分の婚約者はきちんと食べているのかと。
と言うのも、彼女は心配するほど華奢すぎる体躯の持ち主なのだ。ガルニアの女性と比べて、アルディーナは慎ましすぎるローシェンの女性の典型例と言える。
何度かきちんと食べているのかを尋ねたことがあるが、困ったように眉を下げながら毎回返ってくる答えは「食べています」だった。
イジーが婚約をこぎ着けた騒動の後にアルディーナに告げた通り、彼女との初対面は男装した姿だったが、躓いて転けて乗っかられた時には変装を見破れるほどまるで違った。そう、触れると柔らかさがあったのだ。
男装させて出かける時に繋ぐ掌の柔らかい感触と伝わるぬくもりを愛しく感じていた。結婚してからは、いっそう小柄な体であることを知ることとなる。

仕事の休憩がてらにイジーは、私室のソファでくつろいでいる妻の隣に腰かける。アルディーナは読んでいた本にばかり意識を向けていたらしく、ソファが沈んだことに気づくと少し驚きを見せたがすぐに微笑んだ。
「イジー様、お仕事は休憩ですか?」
「ああ」
なんとなく肩を抱き寄せて、距離を縮める。
「え、イジー様?」
彼は戸惑って見上げてくる瞳に視線を合わす。問いかけには答えずじっと見遣ると、アルディーナの頬がほんのりと淡く染まる。それから白い手をとる。
アルディーナは何も言わない夫のされるがままで、手の甲を上に向けられた。
イジーが手にとった左手には結婚指輪が嵌まっている。彼女の細い指に似合う華奢な造りの指輪である。こうして見てみると、本当に小さな手だと感じる。擦ると滑らかな肌触りで、手荒れとも乾燥とも無縁だと窺わせた。
赴くままに触れていると、アルディーナが指にきゅっと力を込め、イジーの武骨な指を握る。
すると、イジーは無意識にその指に唇を寄せた。まるで神聖な儀式のように、その場に静寂が訪れる。
「っ」
喉の奥で息の詰まる微かな音がイジーの耳に入った。唇を離して窺うと、首筋まで真っ赤に染まったアルディーナが固まっていた。
「イ……イジー様……?」
どうなさったのですか、という呟きが微かに聞こえた。しかしイジーは彼女の腰を引き寄せて抱きしめる。すると、アルディーナもまた自然とイジーの背に手を回した。
「――アル」
「はい」
呼び慣れた名前を口にする。返事が返ってくる。ただそれだけのことが心地好く愛しい。
そうして、石鹸の香りが漂うアルディーナの髪に頬を寄せて、休憩が終わるまで小さく柔らかいぬくもりを堪能したのだった。

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意図せず、少し甘えてるような旦那様ができあがりました。
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