幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設
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舞い落ちるのは花びらじゃなくて

お題サイト様:because
choice143:舞い落ちるのは花びらじゃなくて

黎翔×夕鈴(偽夫婦)

 
「んーいい天気! 掃除日和ね!」
三角巾に伊達眼鏡、地味な装いをしながら夕鈴がはつらつとした様子で一人ごちる。
春の日だまりとあたたかな空気が国を包み始め、微睡みを誘うような春が訪れた。
今日の夕鈴はバイト妃ではなく、後宮の奥深くにある数々の部屋の片づけを任された掃除婦である。埃を払っても窓を開ければ春風が運んでくれるので、これまでよりも大々的にはたきを掛けることができる。夕鈴は精を出して臨んだ。
「なぁ、じーちゃんこれもらっていい?」
「む、1つだけじゃよ」
「――って老師に浩大! 掃除したそばからお菓子を散らかさないで!」
やる気になっている夕鈴の背後で、後宮管理人である老師と黎翔の隠密・浩大が2人して饅頭やら団子をつまんでいる。
「だってお妃ちゃんが掃除してるから、オレ護衛の仕事なくてヒマなんだよ」
「それもそうか……ってそんな毎回危険な目に遭いたくないわよ!」
「早く陛下の嫁になれば安全だと思うがの。ほれ、お前さんも一口」
「私は……!」
反論しようと開いた夕鈴の口に老師が飴を放り込む。先程老師達が食べていた饅頭とは違った。怪訝そうに顔をしかめる夕鈴だったが、口の中に広がる甘味に次第に笑顔になる。
「……美味しい……これ、桜ですか?」
「そうじゃ。わしが懇意にしてる老舗の店の飴でな」
「桜の仄かな甘味が良いですね。すごく美味しいです!」
「そうじゃろ」
「と、ごみ片してきますね」
うっかりサボり仲間に加えられそうなことに気づき、夕鈴はその場から素早く離れた。

桜味の飴を堪能しながら、夕鈴は廊下を歩く。風がまとめた髪の先をさらうが、むしろ彼女は心地よく感じていた。外に直接面する廊下へ出ると、聴こえる鳥のさえずり声もまた春を感じさせる。
まとめたごみを決められた場所に捨てて戻る道すがら、何かの小さな声が足元から聴こえた。夕鈴が見回すと、木々の根元の辺りに小鳥が1羽、頭上に向かって鳴いていたのを捉える。
「えっ」
(まさか、巣から落ちたの!?)
驚かせないようにして小鳥にゆっくり近づく。
同時に小鳥の視線の先を追うと、やはり枝に巣があり、兄弟であろう何羽かの小鳥が巣から落ちた小鳥に向かって忙しく鳴いている。こうして見る限り、まだ十分に飛べないかもしれない。
夕鈴は小鳥を掌に載せ、怪我をしていないか目視するが、幸いにも目立つ怪我はない。そうして、周囲をざっと見渡す。誰の目にも触れない後宮のさらに奥深い場所にいるので、誰もこんな姿の夕鈴に気づくことはない。さらに服装も普段のきらびやかな装いではなく、汚れても構わないものである。これなら見咎められないだろう。
「待ってね、今梯子を持ってくるから」
使われていない梯子があったのを思い出した夕鈴は一旦小鳥を地面に下ろし、物置部屋へ向かった。

一方黎翔は政務の休憩をとり、李順にお小言を食らわされながらも夕鈴に一目会うために後宮の奥へと進んでいた。
そして夕鈴のことを思い出す。確か今朝の挨拶の折りに、今日は掃除日和だからと張り切っていた。本来なら自分のそばでただ微笑んでいてほしいのだが、彼女らしさを失わせたくないので彼は掃除の仕事を認めている。
もう少しで夕鈴がいるはずの辺りだ。そう思っていた黎翔だったが、思わぬところで夕鈴を視界に捉えることになる。
「あっ、陛下! 待ってください!」
呼ぶ声の方へ黎翔が向くと、高い木の上で夕鈴がへたりこんでいた。黎翔は事態を把握できず、驚きながら慌てて向かう。
「えっ夕鈴何してるの!」
「こ、小鳥が巣から落ちてたので巣に戻そうと思って……梯子使ったんですけど古かったみたいで、風で倒れて木にぶつかって壊れちゃったんです!」
黎翔が説明を受けて視線を下げると、梯子は無惨な姿になっていた。再び夕鈴の方を見遣ると、心底申し訳なさそうな表情になっている。そして夕鈴がおずおずと申し出る。
「あの、こんなことお願いするの、本当に申し訳ないんですけど……一番近くの部屋にもう1つ梯子があるので持ってきてくださいませんか……?」
黎翔は刹那思案するも、夕鈴のお願いを却下した。
「僕が受け止めるから飛び降りて」
「えっ、絶対だめです! 私今掃除の途中でものすごく汚れてるから陛下の着物汚したくないんです! 李順さんに汚れた部分の洗濯代とか色々請求されちゃうじゃないですか!」
怒る上司を想像して震え上がる夕鈴だったが、黎翔は折れない。
「李順に言わなければ分からないから。あと、僕は梯子持ってこないからね。そうしないと降りられないよ?」
高さがある分、自力で降りるには着地を失敗する可能性が高い。以前、夕鈴が屋根から落ちたことがあり、その際も偶然黎翔が受け止めてくれたが、夕鈴にしてみれば彼の手を煩わせたくない。
しかし、何故か頑なに梯子を持ってこないと黎翔は口にする。何度も真下の地面と黎翔を見比べる。夕鈴は浚巡して、漸く決心をする。
「……分かりました。い、いきますからね!」
「うん。大丈夫だから、ほら」
黎翔が両腕を広げる。態勢を整えて、夕鈴が枝から飛び降りる。目をぎゅっと瞑り落下しているのを感じつつ、夕鈴が気づいた時には、黎翔に下から抱き上げられた時のように膝裏を抱えられた。不安定なバランスを保つために夕鈴が黎翔の両肩に手を置く。
「す、すみません、ありがとうございます。助かりました……陛下? もう大丈夫ですから降ろしてください」
自分を降ろさない黎翔を不審に思い、夕鈴が上から覗き込む。すると、黎翔がにこにことした小犬の笑顔になっている。
「……何です?」
見つめられて頬が染まっていく夕鈴を眺めて、黎翔は満足そうに笑う。
「も……な、何か言ってください」
「今日も夕鈴は可愛いなって」
「そういうことは言わないでいいです!」
夕鈴が抵抗のつもりで足を暴れさせるが、黎翔がまた強く膝を抱き寄せるのでますます降ろしそうにない。物陰から老師と浩大が仲睦まじい2人を生暖かい目で、口元を緩ませて見守っていた。

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(舞い落ちるのは花びらではなく、愛しい人)

展開がものすごくベタです(笑)
木から降りられないとか……。
老師の口調は合ってるのかしら。
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