【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設

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<幸せな音>は管理人 幸音(ゆきね)による本誌ネタバレ感想と二次創作のサイトです。 『狼陛下の花嫁』の黎翔×夕鈴、『ひみつの姫君 うわさの王子』のイジー×アルディーナ、ぬるめですが、それぞれの年齢制限のある話も書いてます。年齢制限の話はパスワード必須です。入力画面での注意事項を必ずお守りください。 当サイト作品は全てフィクションです。実在の人物、団体、事件、史実などには一切関係ありません。原作が大好きです。著作権侵害を目的とせず、原作者様、出版社様とは一切無関係の自己満足個人サイトとなります。 更新はオフ優先ですので、基本的に不定期です。本誌ネタバレ感想は書きますので、最低月1の更新になります。 励みになりますので、よろしければ拍手やコメントしてやってください。何かございましたら拍手コメントやメールフォーム等にて。 拙い文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
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俺の目の届く範囲にいてくれ

お題サイト様:確かに恋だった
過保護な彼のセリフ:俺の目の届く範囲にいてくれ

イジー×アルディーナ(新婚夫婦)

 
「ねぇ、このドレス似合ってるかしら……?」
鏡越しに不安げに零すアルディーナは、ガルニアの王城主催のパーティーに参加するため淡いピンクのドレスを着せられているところだ。王宮御用達の仕立屋が、彼女の華奢な体に似合うように仕立てた新作である。
着つけている妃殿下付きの若い侍女が微笑んで答えた。
「心配要りませんわ。よくご覧になってください、妃殿下にとてもよくお似合いですもの」
「そう……?」
少女の面影を残すアルディーナが着せられている若々しい色合いのドレスは、彼女の肌の白さと漆黒の髪を映えさせる。襟は鎖骨の下辺り程度で、ほっそりとした首筋も露になっている。裾や袖には金糸の刺繍が施され、華美だが特別派手というわけでもなく、気品のある仕立てである。侍女の言う通り控えめな彼女によく似合っていた。
「お髪のお色にも映えますしね」
褒められてアルディーナはようやく微笑みを浮かべた。鏡に映る彼女の髪は全体的に緩く巻かれていて、後頭部でまとめて垂らしている。
「……髪、結わえてくれてありがとう」
「腕によりをかけましたの」
年の近い妃殿下と侍女は、ふふ、と笑みを交わした。それから時間を置かずに部屋にノックの音が響いた。イジーだ。
「アル、準備できたか?」
「あっ、はい」
「さ、妃殿下。お足元お気をつけください」
「ありがとう。お待たせしてごめんなさい、イジー様」
「いや。……」
イジーがじっと見上げる妻と視線を合わすも、やはり言葉が苦手な彼は何も言わなかった。このやりとりを見慣れた侍女が間を持ち、イジーに忠告する。
「殿下、大広間ではどうか妃殿下のお足元にお気を配りくださいませ」
「分かった」
侍女の忠告を受けたイジーは首肯し、アルディーナの細腕を自分の腕に導く。侍女が見送り、2人はメインの広間へと歩を進めた。

「――王太子ご夫妻だ」
「妃殿下のドレス、新作かしら」
「相変わらず仲睦まじいご様子だなぁ」
ざわめき声に混じって招待客の口の端に乗るのは、広間に現れたばかりの新婚夫婦のこと。アルディーナは自分達が話題の中心にいることに慣れないので、隣を歩くイジーの腕に寄り添った。
「アル?」
「あ……いえ、何でもありません」
寄りかかった感触に気づいた彼に対して何事もないように微笑みかける。そうか、と彼は追求しなかった。
「――殿下、妃殿下」
自分達を呼ぶ声に振り向く。綺麗に響き渡るこの声は――
「……あっ」
「カテル。珍しいな、お前がこういう場に来るとは」
「ご招待ありがとうございます。本日は父に代理を頼まれたのですよ。妃殿下、本日のドレスとてもお似合いですよ」
「ありがとうございます。カテルジナさんも、ドレス、すごくお似合いです。皆さんご覧になってますよ」
カテルジナが着こなしているのは、彼女のスタイルの良さが際立つデザインだ。上品さが滲む深紅の色味によって、彼女の美貌が映える。さらにドレスの型は腰より下がボリュームのあるものではなく、ぴったりと張りつくように体のラインが強調されるタイプのもの。そしていつも美しく靡(なび)く髪はアップにされ、夜会巻きですっきりまとめられている。
端から見れば彼女は文句のつけ所がない完璧な淑女であり、可愛いもの好きな変わり者の女騎士にはとても見えない。
「ふふ、光栄です。しかし皆、私よりも妃殿下に注目なさってるのですよ。妃殿下がお召しになっているドレスは流行の最先端になりますからね。本日もお可愛らしいですよ」
「ありがとうございます……そう言われると緊張します」
アルディーナが小さくはにかむと、その笑顔はカテルジナをときめかせたらしい。彼女が暴走する前にイジーがその場を離れさせた。

王宮主催のパーティーということもあり、やはり王太子夫妻は招待客への挨拶回りで忙しい。
その挨拶回りの中で、夫婦の仲睦まじさを羨む者がいたり、女性の招待客からはアルディーナのドレスについて詳しく尋ねる者もいた。カテルジナの言った通り、流行に敏感な女性は流行の先駆けとなる彼女に興味津々なのである。その度にアルディーナは彼女らに丁寧に応え、イジーはイジーで貴族や大臣相手に外交や内政のことについて語らった。
イジーが仕事の話に夢中になり始めたのを見計らい、貴族の令嬢達がアルディーナに声をかける。誘われるままに彼女は夫から離れ、礼儀正しく慕ってくれる令嬢達と歓談することにした。イジーもさりげなくそれを視線で追い、また会話に戻っていった。好奇心のまま行動するアルディーナとて王宮内の広間で迷子になることもないだろうと、イジーは内心思った。
イジーがしばらくの間盛り上がっていた話も収束が見え、ふとアルディーナがいると思われる方へ視線をやる。すると思わず瞬きを繰り返した。肝心の妻が先程声をかけられた輪の中にいないのだ。
「失礼」と話し相手に詫びを入れ、令嬢達の方へと近づく。「妻は」と短く告げると、それまでお喋りに花を咲かせていた彼女達が一斉に振り返った。
「妃殿下はつい先程お席を外されて、外の空気をお吸いに向かわれました」
その中の1人から慎ましい様子で教えられ、イジーは礼を言って踵を返した。

外の空気を吸いに行ったのならバルコニーにいるかもしれないとイジーは考えたが、意外にもすぐに見つけることができた。バルコニーの手前に位置し、深紅の垂れ幕に覆われた、ちょっとした休憩場の前を通り過ぎる際、自分を呼ぶ声が聞こえたからだ。
「――イジー様、こちらです」
声に気づいたイジーが立ち止まり、わずかに開いている幕の中を確認する。
「ここにいたのか」
垂れ幕を手で避け、姿を確認して奥へ入る。ざっと中を見渡すと、休憩所の中であるにもかかわらず他には誰もいない。妃殿下が入ってきたから遠慮して出て行ったのかもしれない。イジーはアルディーナの隣に腰かけながら尋ねた。
「外の空気を吸いに行ったと聞いたんだが」
「ええと……」
口ごもるアルディーナの様子を彼は不審に思って尋ねた。
「どうかしたのか?」
「足が……あの、靴擦れをしてしまったみたいで……」
「珍しいな、大丈夫なのか」
言うやいなやイジーは立ち上がり、すぐにアルディーナの足元に跪く。
「めくるぞ」
「え、大丈夫です、そんな大袈裟なものじゃないですから」
「確認しないと分からないだろう」
イジーはやんわりと拒否するアルディーナを半ば強引に制止し、ドレスの裾をめくった。小さな足を覆う靴から覗く白い皮膚。よく見ると、確かに痛々しい赤みが窺えた。その足首を見つめながら尋ねる。
「……いつから我慢していた?」
「そんなに長く我慢していたわけではないですよ……?」
アルディーナは、嘘はついていない。元来素直な性格なので、嘘をついてもすぐに見破られてしまうほどである。すると、それまで足首を見ていた夫の瞳が上を向き、視線が絡む。
「……本当ですよ?」
困ったように柳眉を下げる妻の表情を見据え、イジーは言葉通りに受け取ることにする。そして、擦れている箇所の近くを指で撫でる。
「アル。靴擦れでも何でもいい、何かあればすぐ俺に言え。それか、俺の目の届く範囲にいてくれ」
結婚して何も心配することがないと思っていたのに、視界からいなくなっただけで想像以上に心配するものだと、彼自身実感した。ピンときていない様子を見せるが、アルディーナはこくりと頷いた。
「ついでだ、部屋まで送るから休んでおけ」
「えっ、でもまだ……」
「もうそろそろ終わる時間だ。俺から話しておくから心配しなくていい。その足では歩くのも辛いだろう?」
「……はい」
アルディーナがしゅんと残念そうに項垂れる。この様子では、まだパーティーの場へ戻るつもりだったのだろうか。すると、ぽつりと呟いた。
「……せっかくおめかししてイジー様の隣に並べるのですから、もっと一緒にいたかったです」
「…………」
(これだ、だから不意打ちは困る)
イジーは片手で顔を覆う。この天然な妻に対して思わず溜息を吐きそうになる。
「イジー様?」
突然黙り込んだ夫へアルディーナがおずおずと名を呼ぶ。それに対してイジーは答えず、座るアルディーナの背中を支えつつ膝の下に腕を入れ横抱きにする。アルディーナは自然に夫の首に腕を回した。
「あの、わたし、何か変なこと言いました?」
「いや……別に着飾らなくても、アルが俺の隣を歩くのは変わらないだろう」
「……!」
女心の機微に疎く言葉が苦手なイジーが何気なく呟いたそれは妻を喜ばせた。
天然なアルディーナの発言に参りながらも、実はイジーもまた不意打ちで妻をときめかせている。

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ヒール履き慣れてるであろう嫁が靴擦れすることはないだろうと思いつつ、旦那様が跪くシーンを書きたくて。

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