幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設
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接触過多注意報

黎翔×夕鈴(偽夫婦)
黎翔視点
50000hitお礼SSも兼ねて

 
黎翔は、臨時花嫁になったばかりの夕鈴から接触過多の注意を受けた。
なんでも、「いきなりの演技は心臓に悪いので控えめにお願いします」と言うのだ。
確かに彼は、彼女の長い髪や触り心地の良い指に触れる頻度が多かった。しかし、彼の思惑はただただ単純なものだった。
(演技なんかじゃなくて、可愛くて仕方ないから触れたいのに)
彼のそんな純粋な恋心を露知らず、夕鈴は今日も妃の笑顔を振りまきながら政務室で働いている。
黎翔にじっと見つめられていることに気づいた夕鈴がそっと近づいた。
「陛下、お疲れですか?」
夕鈴が心配そうに黎翔の顔を覗き込む。
(ああ、可愛いなぁ。それなのに触れられないなんて)
もちろん疲れてなどいないので、夕鈴の勘違いなのである。しかしながら、彼女の標準装備と言ってもいい気遣いの表情でさえ、彼にとってはとても新鮮なものであり嬉しいのだ。
「いや、君のその愛らしい笑顔が私の源だ」
本心をそのまま返したが、夕鈴はそれを演技だと信じ込みながらも頬を淡く染めた。そしていつもならばこのタイミングで髪に触れるのだが、手を伸ばさなかった。
しかし黎翔は次の瞬間、目を疑った。ほんの一瞬ではあるが、夕鈴がふっと寂しそうな表情を覗かせたからである。
(え?)
しかし夕鈴は、はっと思い直した様子で、踵を返して書簡を抱えて政務室を出て行った。
(今のは……?)
場所が場所であるので、夕鈴が戻ってきても真意を問うことはできなかった。

今日の政務を無事終え、黎翔は後宮へと足を運んだ。
「お帰りなさいませ、陛下」
「ただいま」
「お茶淹れますね」
出迎えてくれた夕鈴がそのままお茶の準備を始める。
「あのね、夕鈴」
準備が終わるのを待ってから、黎翔の隣に腰掛けた夕鈴へ問いかけてみる。
「はい?」
首を傾げる様子もまた可愛らしい。
「昼頃にね、僕に疲れてるかどうか聞いてきたでしょ?」
「はい。でもあれ私の勘違いだったんですね。間違えたの、実は恥ずかしかったんですよ」
夕鈴が苦笑しながらお茶を啜(すす)った。
「あの後ね、僕、夕鈴の髪に触ろうと思ってたんだよね」
「えっ」
「でも前に言われたから控えなきゃと思って我慢したんだけど、夕鈴、その時寂しそうだったんだよね。あれは僕の勘違いなのかな?」
軽い調子で言ってみたつもりなのだが、夕鈴は茶器を抱えたまま黙りこくってしまった。
「…………」
「あの……夕鈴?」
今度は黎翔が黙る夕鈴の顔を恐る恐る覗き込む形になった。しばらく沈黙が場を支配したが、夕鈴が小さく口を開く。
「あの……今更こんなこと言うのも恥ずかしいんですけどね……」
と、落ち着きない様子で、手元の空になった茶器をもてあそんでいる。
「うん、なぁに?」
小犬の柔らかい声で先を促す。
「……です」
吐息のような囁きだったが、すぐ傍にいる黎翔の耳にはきちんと届いた。しかし、意地悪をしてみたくなったのでわざと聞き返した。
「ごめん、聞こえなかった。もう1回言って?」
「~~っ」
俯いた顔が赤くなっているのが明らかだった。
「陛下に触られることに慣れてきたみたいで、タイミングとかもたまにですけど分かるようになってきたんです。けど、その、全然触られなくなって……さ、寂しいと思うようになっちゃったみたいです……」
染まってゆく顔を見られたくないのか、夕鈴はさらに深く俯いた。栗色の長い髪がさらさらと落ちて、夕鈴の顔を隠す。
(これ……要は触ってほしかったってことだよね?)
表情を窺いたい黎翔が夕鈴の髪をそっと払いのけるように指を滑らせると、体を小さく震わせた。
「じゃあ、もう触ってもいいってこと?」
「……あ、あまり過剰じゃなければっ」
「どうして? 少し前まで当たり前だったじゃない」
「それは、確かにそうですけど……」
夕鈴がもごもごと語尾を濁らせる。一方、触れてもいいというお許しが出た嬉しさを隠せない黎翔はからかう声色で諭す。
「過剰すぎるほどでも十分だと思うよ。僕達の夫婦仲の良さを王宮全体に知らしめさせるには」
プロ妃を目指す真面目な夕鈴に対して責任感をくすぐるようにして言いくるめる。
「そうですよね、その方がちゃんと仕事につながりますよね」
与えられた仕事を全うしようとする彼女の意気込みに黎翔は素直に感心する。
(好きだから触れたい、という考えはないのかな)
などと考えていると、夕鈴が顔を上げてはにかみながら言った。
「陛下に触られるとドキドキするんです。だからあんまり触れられると死んじゃいそうです」
「――えっ」
(これは…………殺し文句なんだろうか)
と思ってしまったが、彼女は天然なのだ。思わず苦笑を零すしかない。嫌われるようなことはしたくない。
――けれど、君に触れたがる手はもう止められないのだ。

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久々に狼陛下偽夫婦のSSを突発的に。
なんとこっちの夫婦の新作は(140字SSを除いて)3ヶ月ぶりらしいです。
こんなに間隔を空けていたとは自分でも驚きです……
某少女漫画の描き下ろしが構想のきっかけになり、陛下は好きな女の子にしか触らないタイプだと思いました。
(反対に無表情で無愛想な旦那様は好きな子だからこそなかなか触れられないタイプ)
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