幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設
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無知な姫君と忍耐強い王子様

イジー×アルディーナ(婚約時代)

 
「アル、俺だ」
「イジー様?」
「入ってもいいか?」
「ぜひお入りになってください。イジー様のお顔を見たいです」
「……」
素直に願望を告げると、扉の向こうが沈黙した。なぜだろう、とアルディーナは首を傾げる。しばし待ってみるも一向に開かれる様子がないので、アルディーナの方から扉を開ける。
すると、微妙に眉間に皺を寄せた婚約者が入口でじっと佇んでいた。
榛色の瞳と視線が交差する。
「たまに驚くほど変な破壊力があるな……」
ぼそりと呟きながらイジーが部屋の中へ入る。直後、アルディーナが扉を閉めようとすると、イジーはそれを制止して、扉を完全には閉じずに肩幅ほど開けたままの状態にしたのだ。
純粋に疑問を浮かべた彼女が素直に尋ねる。
「なぜ閉めないのですか?」
一方、問われた彼は絶句する他なかった。男女が2人きりになってしまう空間において、室内の様子がいつでも外に分かるように――といった説明をしようかと考えるが、過剰に意識されたらギクシャクして距離を作られるようになる。そんな想像は容易いし、以前のような事態は二度とごめんだ。正直に言えばあの時はさすがに滅入ったのだから。
黙考した末、彼は洩らしそうになる溜息を堪え、アルディーナの頬を折り曲げた指でそっと撫でた。
アルディーナは触れられた場所に、一瞬にして身体中の熱が集まったように感じた。
「……そんなに無防備になるなよ?」
「え?」
「俺だって、揺らぐ時はある」
そうしてひと撫でしてから名残惜しそうに指が離れてゆき、彼はあさっての方向に視線を遣った。
ちょっと困ったような顔をしているのは、どういう意味だろう。アルディーナはますます疑問を深めた。曲げない信念が胸にあり、常に自信に満ち溢れる婚約者が揺らぐ瞬間などあるのだろうかと。
「あの、イジー様」
「ん?」
「なんのお話かは分からないですけれど、イジー様はいつだって揺らがないでしょう?」
「いや……そうでもないぞ」
「そうでしょうか?」
小首を傾げる婚約者を前に、イジーは臆面もなく口にした。
「おまえ相手なら揺らぐ」
「……!」
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