幸せな音

【ひみつの姫君うわさの王子】【狼陛下の花嫁】二次創作サイト。2012/1/12/開設



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無自覚と無頓着=鈍感 :: 2015/07/12(Sun)

ふたりへのお題ったー
イジアルへのお題:無自覚と無頓着=鈍感/(このままいっしょにいても、いい?)/どんなに想ったところで伝わらない、届かない

1つ目のお題がまさにこのカップルのためのもので驚きました。
ベアトリス視点(ひみつの姫君うわさの王子)

 
『親愛なるベアトリスへ―― ごきげんよう。先日のお手紙、どうもありがとう。あなたからのお手紙、毎回楽しみにしているんです』
とても年上に見えない年上の――しかも既に結婚している異国の親友から届いた手紙を侍女から受け取ったベアトリスはすぐさま封を開け、隠しきれない嬉しさを露(あらわ)にして読み始めた。
国政に関わらない未婚の王女が公務以外で自国を出ることは、滅多にない。
そのため、友人となったアルディーナとはあの一件以降、頻繁に手紙のやりとりをしている。趣味の良い便箋に綴られた文字はとても丁寧で、品がある。もちろんベアトリスとて一国の姫君としての教養はあるので、毎回の手紙に趣向を凝らしている。
『あの、実は相談というか……悩んでいることがあるんです』
「えっ?」
アルディーナからの手紙は、普段なら新婚らしく惚気で満載の手紙だ。しかしながら、いつもと違う始まり方なので驚きつつ急いで目で追う。
『最近イジー様が、わたしと一緒にいる時にたまに苦しそうなお顔をなさるの。その、人前ではなくてわたしと過ごしている時のみなのだけど。いつもお仕事で忙しい方だから詰められてご気分が悪いのかと思って尋ねても、なんでもないとおっしゃるの。そういうことが度々あるのに、気にするな、と……。わたし、イジー様の奥さんなのに何のお役にも立てなくて……』
そこまで読んだベアトリスは便箋をテーブルに一旦置き、手のひらを額に当てた。そして直後に「はあああ」と重い溜息が口から漏れ出た。
つまり、夫婦2人きりになった際、妻に迫った後に意識されすぎて一方的にギクシャクしてしまう事態を、彼女の夫は避けているのだろう。後になって知ったが、婚約していた2人を以前この国に招待した時がまさにその状態だったのだ。
無愛想で無表情な、けれどアルディーナを誰よりも大事にしている彼女の夫について知っていることは少ないが、文字のやりとりだけで知らされているベアトリスにだって想像できるのに。
れっきとした夫婦であるのにもかかわらず、まるで付き合いたての初々しい恋人同士同然の状態を、あの兄が知ったらどんな騒ぎになるか……。今度こそ本気で彼女を奪いに行くのでは……と、そこまで考えを巡らせて首を振った。自分を含む兄弟の目の前で見せられた、あの2人の互いに向ける信頼と愛情は揺るぎないものであったし、何より完全に負けた勝負に今一度挑むような性格の兄ではない――この件に関しては安心していいはずだ、と内心納得する。
ふ、と呼吸を整え、再び便箋を手に取る。
2枚目の便箋からは1枚目とは打って変わった内容だった。ただ、アルディーナ本人は話題を変えたつもりなのだろうが、ベアトリスは個人的にはそう思わなかった。なぜなら悩みを綴った先程の内容とは正反対に、彼女の惚気がいつも通りに始まったからだ。
『それで話は変わるのだけど、イジー様、相変わらずご自分のことに無頓着でいらっしゃるの。夏に開かれたリージェク公国での舞踏会でも、ご衣装に関して全くご興味を示されなくて、仕立て屋さんにこっそりお願いして、わたしの髪留めのリボンと同じ色にしていただいたのよ。せっかくのお揃いなのに、全然気づかれないの。もちろんそれもイジー様らしいと言えばそうなのだけど……――』
この辺りの文章は、あのふんわりとした微笑を浮かべながら書いたのだろうな、などと容易く想像ができる。それくらい、アルディーナの感情は文章に表れやすい。だから彼女の感情の移ろいは手に取るように分かるのだ。
しばらくして何枚もの便箋に目を通し終えたベアトリスは、ぽつりと呟いた。
「まったく――お互いのことはよく見ていて聡いのに、どうして自分のことは鈍感なのかしらね」
友人夫婦を脳裏に思い浮かべ、自分でも無意識の内にくすくす笑っていた。
さて、返事はなんて書こうか。ああ、今度王族主催の舞踏会に招待して久しぶりに直接話すのもいいかもしれない、と自然と胸が弾む。
気分はすっかり高揚し、引き出しにしまっている何種類もの便箋から、今度の返事に用いるものを選ぶ楽しみな時間が始まった。

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ベアトリス視点のお話、第2弾です(第1弾は『甘い夫婦』
実は2ヶ月近く書き溜めていたものです。アルの「何のお役にも立てなくて~」で止まってました。
自分自身への認識がちょっとずれてる夫婦を第三者であるベアトリスから見るのが好きです。なので今回のこのお話になりました。
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  1. イジー×アルディーナSS
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